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社説

「イスラム国」の拠点を制圧 過激思想からの解放こそ

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 アラブ世界の国境を超えて一大国家の建設をもくろんだ過激派組織の「イスラム国」(IS)。その「首都」とされていたラッカ(シリア北部)が陥落した。

     7月にはイラクの拠点モスルも陥落した。両国での面的な支配を失い、国家建設に関するISの野望はひとまずついえたといえる。

     事の起こりは2014年、ISの最高指導者のバグダディ容疑者がカリフ制に基づく「国家」樹立を宣言したことだ。

     それはサイクス・ピコ協定(1916年)など、列強による中東分割に対する抗議とも受け取られた。「全てのイスラム教徒は結集して従え」。ISの呼びかけで世界各地から志願兵の合流が始まった。

     この現象は「国家」構造の崩壊によって下火になろう。IS支配地域の住民たちが、イスラムの名を借りた残虐行為や恐怖政治から解放されるのも喜ばしいことだ。

     だが、それだけでは世界が安全になったとは言えない。

     ISの思想はインターネットなどを通じて全世界に広まっている。欧米などで「一匹オオカミ」的なテロを起こしてきた信奉者らが報復テロを企てる恐れもある。

     そうであれば、過激な思想の影響力を失わせない限り、世界は安全と平和を得られないだろう。

     ほとんどのイスラム教徒は善良な人々である。だが、01年の米同時多発テロ以来、今世紀はイスラム教徒のテロが続発しているのも事実だ。

     それだけイスラム教徒が疎外されているのか。あるいはイスラムの聖職者らがもっと強くテロを非難すべきなのか。多くの要因を突き詰めて考えない限りテロはなくせまい。

     避けて通れない課題は、過激派の温床ともなるシリア内戦を終わらせることだ。内戦が長引くほど関係各国の事情は複雑に絡み合う。

     例えばラッカ奪還に功績のあったクルド人たちはイラク北部の独立をめざし、イラク政府軍が北部の都市に進駐する事態になった。やはり独立に反対するトルコやイランの協力も得ないとシリアの安定は難しい。

     ここは米国の出番だろう。ロシアとの折衝も含めて関係各勢力の意見調整を進めてほしい。それが過激思想に打ち勝つ道でもあるはずだ。

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