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長部日出雄の映画と私の昭和

「仁義なき戦い」(日本・1973年)

 昭和48(1973)年に正月映画第2弾として封切られた「仁義なき戦い」ほど、新鮮きわまりない衝撃で見る者の感性を震撼(しんかん)させたやくざ映画はない。それは従来の東映任侠(にんきょう)劇の様式美を根底からくつがえす画期的な作品であった。

 轟音(ごうおん)と共に原爆投下のキノコ雲が空高く立ち上る場面に始まり、わが国各地の焼け跡や街頭の光景を示す白黒のニュース映像に続いて、本当に当時のものと見える闇市の画面に色彩が付されて劇中の世界となり、「昭和21年」「広島県呉市」と字幕で告げられる。

 次々に登場する極道の各組の幹部に扮(ふん)し、対立する相手を威嚇したり脅迫したりする主演級や実力派ぞろいの俳優陣が、どう見ても全員本物のやくざとしか思えない。役者の演技力に加えて新鋭深作欣二の傑出した演出力によるものだろう。

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