<われわれの近代的感覚に直接、ビリビリとふれてきます>。岡本太郎がそう述べた縄文土器。パリに留学中、民族学を学んだ岡本は、日本の「伝統」とされているものを「弱々しく、陰性」だと喝破し、縄文の文化を美術史の中で“再発見”したことで知られている。
その中でも、この土器は独特の造形で強い個性を放つ。鶏の頭のような突起が口縁部にあり、粘土ひもで渦巻きやS字の模様が施されている。岡本が縄文土器論を発表したのが1952年。<これでもかこれでもかと、執拗(しつよう)にせまる緊張感。しかも純粋に透(すきとお)った神経のするどさ。とくに爛熟(らんじゅく)したこの文化の中期の美観のすさまじさは、息がつまるようです>
80~85年に新潟県十日町市の笹山遺跡から出土し、国宝に指定されたのは99年、平成に入ってからと意外に新しい。特別展「国宝」で、この最古の国宝を展示する京都国立博物館(京都市)の降矢(ふりや)哲男研究員は「歴史的側面に加え、美術的側面から指定された」と話す。
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