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榛名山の噴火を鎮めようと、よろいで盛装し一心に祈る--。古墳時代の生々しい様相が話題になった群馬県渋川市の金井東裏(かないひがしうら)遺跡。6世紀初頭の火山灰層から成人男性の骨が発見されて5年。今年、詳細な報告書が出た。古代「英雄」像をめぐる現況は。
まずは、祈りの真っ最中に火砕流に襲われ、その姿のまま出土したのでは、というストーリーの点検。よろい(甲)にちなみ、遺跡の主人公を研究者たちは「甲太郎(こうたろう)」と親しみを込めて呼んでいるそうだが。
「山に向かって拝み……というのは眉唾です」。土生田(はぶた)純之・専修大教授(考古学)の説明は意外なものだった。「見つかったのは溝(深さ1メートル)の中。溝の中で儀式を行うとは考えにくい。歩いていて火砕流に遭って溝に流され、ああいう手をついた格好になったのでは」。火砕流を受けた最初の位置からは明らかに動いているという。
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