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紙面審ダイジェスト

公示前勢力の人数の違いはなぜ

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 紙面審査委員会は、編集編成局から独立した組織で、ベテラン記者5人で構成しています。読者の視点に立ち、ニュースの価値判断の妥当性や記事の正確性、分かりやすさ、見出し、レイアウト、写真の適否、文章表現や用字用語の正確性などを審査します。審査対象は、基本的に東京で発行された最終版を基にしています。指摘する内容は毎週「紙面審査週報」にまとめて社員に公開し、毎週金曜日午後、紙面製作に関わる編集編成局の全部長が集まり約1時間、指摘の内容について議論します。ご紹介するのは、その議論の一部です。

<10月13日>

■公示前勢力の人数の違いはなぜ

 幹事 衆院選が公示された10日夕刊で気になったのが、1面<党派別立候補者数>の「公示前勢力」の欄の「自民」「公明」「無所属」の人数に各紙で微妙な違いが見られたことだ。朝刊段階で数字を替えたところがないので、間違いがあったわけではないのだろうと想像する。比較すると、

(左から自民、公明、無所属)

本紙 284 35 44

読売 284 34 45

東京 290 35 37

日経 290 34 39

産経(朝刊) 290 35 37

朝日 284 34 38

 朝日は、欄外に「公示前勢力は、解散後の党派異動を含む前職数(欠員3、民進の不出馬7人は除く)」とあるので、民進党の不出馬前職を無所属としてカウントすれば、無所属が45となり、読売の公示前勢力の党派別人数と同一だ。それを考慮すれば、自民を284と数えた朝日、読売、本紙は公明を35(無所属44)とするか、34(無所属45)とするかの違いだけのように見える。ヒントになりそうなのが、日経の党派別立候補者数の表だ。そこには「公示前勢力」と別に、「解散時勢力」の項目があり、公明は解散時に35だったのが、公示前は34になっている。これは、もしかしたら比例近畿ブロックの公認候補に決定していたのに週刊誌で男女問題が報じられることを理由に公認を取り消され離党した前議員のことかもしれないと想像した。

 自民を290とするか284とするかは、無所属を39とするか45するかの違いのようにも見える。批評子の個人的印象だが、読売の数字が合点がいく。いずれにしても、今回のように野党第1党がなくなり、新党が二つもできたこと、その流れから無所属で出馬した前職が多いこと、不祥事で離党し無所属で立候補したり、自民党で引退議員が相次いだりしたこと、またこうした変化が解散から公示までの間に相次いだことなどから、党派別のカウントはかなり大変だったはずである。今回のカウントに誤りがなかったかも含め、どのようなルールで数えたのか。表の欄外には各紙とも数え方を説明する注釈が記されていたが、本紙は「※公認候補を出さない民進と自由両党出身で政党の公認を受けていない前職は公示前勢力を無所属とした」とあった。これで十分だっただろうか。

 なお、共同通信の序盤情勢調査を掲載した本紙の12日朝刊1面にある<各党の推定獲得議席数>の表には、「公示前勢力」として産経や東京と同じ数字が示されており、欄外には無所属の数え方まで説明する記載があった。記事の後文に「公示前勢力の数は毎日新聞社の分類と一部異なります」と書いたことは良かったが、本紙報道で二つの数字が混在しているわけだから、本紙が今後<党派別立候補者>の表を掲載する際には、「公示前勢力」についてより丁寧な説明を欄外に記すべきだと思う。

 司会 政治部。

 政治部長 自民党の284が290になっているのは、主要紙が284なので問題ないと思う。問題は公明党の34か35だと思っている。指摘にあるように、公明党の比例近畿ブロックの議員が週刊誌に女性問題を取り上げられて解散後に離党した。選本は最初、離党し公認もはずれたので34にしようとしたが、センターとの話し合いで35にした。理由は比例なので、その議席そのものは公明党の議席である。この議員が離党して公認をはずれても、いずれ違う公明党の議員が繰り上がっただろうということで、公明の枠そのものは変わらないから35のままということだ。

 世論調査室長 若干補足したい。この議員は解散後の公示直前に、公明党を離党し、公認をはずれた。公明党はこのケースでは、解散がなければ議員辞職していたはずだ。35にした最大の理由は、(選挙前の)勢力数字を34にしておくと35取ったら微増になってしまう。しかし、35にしておくと、現実に増えたとは言えないことを反映できる。公示前勢力ではなくて、解散時勢力で言えば、公明党は35だ。公示前勢力を厳密に扱えば、この前公明党議員の場合をどう扱うかだ。これを無所属とすると、34になる。しかし、公明党が持っていた勢力で考えると、35とした方がより実態に近いということだ。

 編集編成局次長 自民党について説明する。無所属候補が当選したら追加公認する選挙区が山梨2区、埼玉11区、神奈川4区、岡山3区にある。その4選挙区で自民党前職だが無所属で立候補しているのが6人いる。この6人を公示前の自民党勢力と数えて、うちより6人増えて290になる。気付いていないかもしれないが、立憲民主党がうちは15で、共同は16だ。これは北海道8区で前職が無所属で出ているが、立憲民主党に入党している。こうした数え方はどこの社が間違えているとかでなくて、「決めごと」だ。私はうちの「決めごと」が正しいと思っている。公明党は解散がなければ辞職して、同じ公明党の人間が繰り上げ当選するから35は変わらないということだ。

 司会 つまり、公示前の実態にうちは合わせているということか。

 編集編成局次長 選挙区の議員だったら減らさなければならないかもしれないが、比例なので。つまり公明党の「力」として35あるということだ。

 幹事 新聞を見比べる人はそうたくさんいないだろうが、そういう説明を記事にするのは大変か。

 編集編成局次長 [なるほドリ]だろう。

 幹事 今日(13日)の東京新聞2面に、メディアによって公示前勢力のカウントの仕方が違うというのを記事にしている。公明党のことは書いていないが、自民については書いている。本紙には、共同の数字と二つの数字が混在しているが、どうか。

 政治部長 カウントの仕方が違うと書くしかない。しかし、どう違うのかとなって、説明すると際限がなくなるかもしれない。特にこの後文の表記が問題だとは思わなかった。

 幹事 これではあっさりしすぎている。

 政治部長 どこまで丁寧に説明するかだ。

 幹事 今後の選挙でも共同の調査を使うことがあるだろうが、共同とカウント方法のすりあわせをすることはないのか。東京、産経は共同を丸ごともらっているだろうから合わせているのだと思うが、うちも共同を使う以上は考えないと。

 司会 なるべくすり合わせるように努力した方がいい。

 幹事 数字が二つあると、なぜ?と素朴に思う人がいるので。検討できるならしてもらいたい。

■「無党派日記」の無党派人選は?

 幹事 公示を受けた11日朝刊社会面の[無党派日記 衆院選2017]は、他紙が有権者の反応や注目の選挙区などで社会面を展開する中、最近の選挙で勝敗のカギを握る「無党派」にターゲットを絞った企画で、ひときわ目を引いた。「序盤 上」となっているから、何回かにわたって継続的に10人の変化を追っていくのだろう。2005年小泉郵政解散選挙の時に社会面で<サザエさんの街から>という無党派層の動向を探った企画を思い出した。継続的な取材に協力してくれる有権者を探すのも苦労があっただろう。それぞれがどう変化するのか、しないのか。また、選挙期間中のどんな出来事に反応するのかなどを探ることができる企画として評価し、期待したい。

 そのうえで確認しておきたいことがある。記事の根幹になるのは、もちろん「無党派」である。無党派10人をどのようにして選んだのだろうか。記事に添えられた過去の投票先についての表を見ると、過去4回とも民主党に投じている女性もいる。彼女は外形的には民主支持層に見える。また、この企画はどのぐらいの頻度で掲載していくのだろうか。後文には、「今回の投票先を決めるまでの日々を選挙戦と同時進行でつづっていく」とあるが、投票までフォローしないのだろうか。読者にもう少し丁寧な説明が必要ではないか。ちなみに、<サザエさんの街から>の後文は「商店街周辺の住民約150人に面談取材。『支持政党がない』と答え、選挙運動期間中の継続的な取材への協力を了承した10人の投票行動などを追う」と説明していた。

 司会 社会部。

 社会部長 無党派層の定点観測というコンセプトは<サザエさんの街から>と同じだが、今回は東京の一地域を定点観測するよりも、全国の有権者が登場したほうが他県の読者にも関心を持っていただきやすいだろうと考えた。近年の選挙では無党派層の動向が選挙結果のカギを握っているが、今回は公示までの野党のすったもんだでかなり混乱しており、無党派層が難しい選択を迫られる選挙だと想像できた。そこで、「支持政党なし」という有権者が今までの政治状況をどう見ていて、今後どんな節目にどう考えを固め、どんな投票行動に至るのかを、選挙戦と同時進行で見ていくことにした。ただ、急な解散で準備時間が乏しい中で、過去の投票行動への取材も含め、継続して取材に協力していただける無党派10人をそろえるのは難しかった。街頭で協力をお願いしたり、つてを頼って探したりしながら、地域や年代、性別、職業が偏らない10人を選んだ。このため、どのように集めたかを記事で簡単に説明するのは難しい上、統計的な記事ではなく1人1人の心の動きを追うものなので、抽出方法の説明は割愛した。また、10人は「自分は支持政党なし」と答えているが、表には2005年以降、ずっと民主党・民進党に投票している女性もいる。しかしこの女性は記事(12日朝刊)で説明しているように、05年以前はずっと自民党に投じている。ただし、過去4回の投票先がすべて同じ政党という人は極力少なくした。連載が今後いつ掲載されるのかの説明については、小見出しに<序盤・上>とつけることで、中盤や終盤もあるんだな、と分かっていただけるニュアンスを出した。

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