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余録

五代目古今亭志ん生が…

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 五代目古今亭志ん生(ここんてい・しんしょう)が三遊亭朝太(さんゆうてい・ちょうた)と呼ばれた修業時代、旅に出て甲府の寄席に住み込んだ。そこで下働きをしていたじいさんは前座で廃業した元落語家という。ある晩、朝太が「甚五郎(じんごろう)の大黒(だいこく)」を演じた時である▲「左甚五郎は与太郎じゃありませんぜ」。じいさんの酷評に衝撃を受けた朝太は、以後じいさんが昼間、鳴子番(なるこばん)をする田んぼの小屋に通って落語を教わるようになった。じいさんは鳴子のひもを引き引き、稽古(けいこ)をつけてくれたという▲京須偕充(きょうす・ともみつ)さんのウェブコラム「落語 木戸をくぐれば」によると、昔はこの手の埋もれ芸人がずいぶんいた。志ん生の持ちネタもこんな得難い体験を通して豊富になったという。で、こちらが注目したのは鳥獣から田を守る鳴子番だ▲農作物を鳥獣から守るのに音で脅かす工夫は、鳴子のほか、威(おど)し銃(づつ)や添水(そうず)などが秋の季語にある。だがそこは現代、ドローンを使って音楽、それも市歌を流してサルを撃退する試みを岐阜県美濃加茂市が始めたというニュースである▲まず猟銃やロケット花火でサルを追い払う際に市歌を流し、恐怖を知ったサルが市歌を流すだけで寄りつかないようにする作戦である。シカやイノシシと違い電気柵を越える技を簡単に覚えるサルの学習能力を逆手にとったかたちだ▲山間地の過疎化・高齢化、耕作地の放棄、ハンターの減少など、人の都合からも増える獣害である。人とのすみ分け方を獣にも十分身につけてもらえるよう稽古に工夫をこらしたい現代の鳴子番である。

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