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SUNDAY LIBRARY

村松 友視・評『私のヴァイオリン』『聴く鏡2』

“縁故入社”的にもぐりこんだクラシックとジャズの麗しき世界

◆『私のヴァイオリン』前橋汀子・著(早川書房/税別1500円)

◆『聴く鏡2』菅原正二・著(ステレオサウンド/税別2700円)

 今から半世紀も前のことか……と思い出して我ながらおどろいてしまった。

 伊丹十三さんがまだ伊丹一三(いちぞう)の名を用いていた時代で、川喜多和子さんとの結婚生活がいかにも伊丹流……といったセンスにみちている頃だった。十九世紀末のヨーロッパ文学の香りに通じるかのごとき倦怠感(アンニュイ)がそこはかとなくかもし出される雰囲気の中で、酒を飲みゲームに興じ、話題のもてあそびを愉しむ伊丹さんのありようは、当時としては際立って洒落(しゃれ)ていて、私は伊丹さんに興味をもつ若年編集者としてサロンに参入した“新人”であった。

 ある日の雑談の中で、「前橋汀子にストラディバリウスを弾かせてあげたいね」と伊丹さんが言った。そして…

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