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第63回学校読書調査

図書館「学びの場」に 学校が環境作り 京都市立宇多野小

学校図書館が日常的に「学びの場」となっている=京都市立宇多野小学校で

児童、探究的な学習

 学習指導要領の改定に伴う「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の導入に向けて、学校現場で授業改善への模索が続いている。その一つに「学びの場」としての学校図書館の活用が挙げられる。「読書の場」としてのイメージが強い学校図書館を、授業にどのように取り入れるのか。先進的な取り組みを進めてきた京都市立宇多野小学校(柳田典子校長)を訪ねた。【池乗有衣】

    アクティブ・ラーニングに活用

     「視覚障害についての本を取ってきて」「聴導犬の働く様子の動画を見てみよう」

     4年生が「福祉」について学ぶ、総合的な学習の時間の一コマ。図書館内は、グループに分かれて活発に意見を交わす児童らの熱気に満ちていた。

     机の上には関心や疑問を持って本で調べた結果を書き込んだ「情報カード」が並ぶ。児童らはグループごとの発表に備え、テーマにとって何が必要な情報か、どの情報をどんな形に仕立てるかを整理する。足りない情報があれば、図書館の本やタブレット端末で調べることもある。

     蔵書は「日本十進分類法」に基づき「社会」や「自然科学」など分野ごとに並んでおり、目的の本を探しやすい。児童らは「調べたいと思ったとき、すぐ調べられるのがいい」と、図書館の機能を存分に使っている。

     「介助犬と人の暮らし」を劇にして発表する予定の本郷沙歩さんと坂元愛羅さんは、この日の授業で「肢体不自由の人の情報が少ない」と気がついた。タブレット端末で検索し、分からない言葉に出くわすと、国語辞典を持ち出した。「気になることを調べて、分かれば分かるほど、どんどん調べたくなる」と本郷さん。

     図書館にはホワイトボードや大型テレビもあり、さながら教室だ。担任の河原崎美幸先生は「図書館の資料は本の文章だけではない。写真や映像を導入に使うと興味を持たせやすく、教え方の幅が広がる。子どもたちも、図書館での授業を楽しみにしている」と話す。

        ◇

     学校図書館をアクティブ・ラーニングに活用するには、学校側の努力も欠かせない。柳田校長は、司書教諭としての長年の経験から「授業に使える本や資料をそろえたうえで、児童が必要な情報を自分で探せる環境作り」をポイントに挙げる。

     宇多野小では毎月1回、教務主任や各学年の担任、司書教諭、学校司書らを集め「図書館活用委員会」を開く。教科ごとの単元表を基に、授業で使いたい本や資料の要望を聞き、学校司書に用意してもらう。本がない場合は公共図書館に借りに行くこともある。

     児童に対する、情報の調べ方や学び方の指導も欠かせない。「学年ごとに合った本の探し方、図鑑や辞典、年鑑の使い方、得た情報の要約の仕方などを、普段の授業に組み込み、繰り返し体験させてこそ身につく」と指摘する。

     宇多野小の図書館は地域や学生ボランティアの協力も得て、朝から放課後まで開いている。週3日勤務する学校司書の小野寺絵実さんは、蔵書の整頓に余念がない。児童らは1年生の時から、自分の好きなことをより深く知るための「自主学習」という宿題を続けており、放課後の図書館には、自主学習のため目的に合った本を探し、ほしい情報を書き写す姿が見られた。学校全体に、学びの場としての図書館が浸透している。


     ■ことば

    司書教諭と学校司書

     「司書教諭」は、その資格を持つ教諭で、12学級以上の学校には配置する義務がある。学校図書館の運営や活用の中心的な役割を担うが、学級担任との兼務も少なくない。「学校司書」は本の貸し出しや整理など図書館の日常業務や、図書館を使った教育を支援する職員で、2015年の改正学校図書館法施行に伴い、全校に配置の努力義務が盛り込まれた。

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