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余録

「米国の新聞王」と呼ばれたジョセフ・ピュリツァーは…

 「米国の新聞王」と呼ばれたジョセフ・ピュリツァーは19世紀後半、不正や腐敗の追及など権力批判にこだわり大衆紙を全米一にさせた。ライバル紙との激しい競争からセンセーショナルでスキャンダラスな報道へと傾き、批判を受けた苦い時期もあった▲その反省もあってか、真のジャーナリストの養成を遺言に掲げ、遺産をもとにピュリツァー賞が設けられた。晩年、新聞づくりの基本として後進に残した言葉の一つがこうだった。「一にも正確、二にも正確、三にも正確である」(W・A・スウォンバーグ著「ピュリツァー」)▲今、正確さの対極にあるのがフェイク(偽)だろう。フェイクニュースという現象は、昨年の米大統領選から主にインターネットで広がり、日本でも流行語になった▲「フェイク」を連発し、自分に批判的な報道とメディアへの攻撃を続けているのがトランプ米大統領である。先日も「死にかけている雑誌や新聞はフェイクニュースであふれている」とツイートした。米紙やテレビは調査報道や大統領発言の事実確認で対抗しようとしている▲今年101回目のピュリツァー賞にトランプ氏と慈善団体の不透明なカネの流れを追及した米紙記者が選ばれたのは、うなずける。権力に真っ向から挑む精神は賞に脈々と受け継がれている▲きょうはピュリツァーの命日である。没後1世紀余を経たメディアと大統領のとげとげしい闘いを、彼ならどう見ることか。米国以外のメディアにとっても人ごとではない。

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