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神鋼製品不正

顧客離れの動き 中小、確認作業に忙殺も

神戸製鋼所東京本社=東京都品川区で2017年10月24日、本社ヘリから藤井達也撮影

 神戸製鋼所のデータ改ざん問題で、同社の製品を扱っている取引先企業の間に他社製品への切り替えを進める動きが出始めている。一部の製品で日本工業規格(JIS)の認証が取り消されたこともあり、顧客離れが今後広がる可能性も出てきた。取り扱う製品に神戸製鋼製の素材が使われていないか、確認作業に追われる中小企業も多く、「本業に手が回らない」との悲鳴も上がる。

 「神戸製鋼以外のメーカーの鉄鋼にしてほしい」。不祥事の発覚後、大阪市に本社を置く鉄鋼材の卸売会社に対し、製造設備や建築部材の加工を手掛ける複数の中小企業から、材料調達先の切り替えを求める声が相次いで寄せられている。

 神戸製鋼の取引先企業は全国で6000社を超え、関西が4割近くを占める。大阪市内の金属加工会社は、取引先の大手企業から別の鉄鋼メーカーの材料を使って部品を作り直すよう求められたといい、合計300万円の追加受注があった。社長は「今後も同様の注文が相次ぎそうだ」と話す。

 神戸製鋼は26日、子会社の工場で生産する銅管のJIS認証を取り消された。一定の品質を保証するJISは金属素材に多く採用されており、認証を購入の条件とする会社も少なくない。神戸製鋼の銅管を扱う流通業者は「受注が減るかもしれない」と肩を落とす。基幹部品に採用している大手空調メーカーは「調達先を見直すかどうかは決まっていない。品質は現在調査している」と話す。

 他の鉄鋼メーカーに切り替えようとしても納品に時間がかかり、代用できないケースもある。別の金属加工会社の社長は「切り替えの動きが広まれば品不足となって価格高騰を招く恐れもある。中堅・中小企業への影響は大きい」と指摘する。

 不信の連鎖が日本メーカー全体に広がることを恐れる声も強まっている。

 「品質管理に直結するデータを改ざんするなんてありえない話。中堅企業ですらきっちり管理しているのに」。大阪府内の金属加工会社幹部は「海外の人は日本のものづくりに疑問を感じている。世界中で信用が落ちる恐れがある」と懸念を示す。

 自社製品に神戸製鋼製の素材が含まれているか、多くの企業が確認作業に追われている。商社を仲介して素材や部品を購入して製品に仕上げるケースが多く、どのメーカーの素材が含まれているか簡単には分からない。大阪市内の工具メーカーは、納入先の大手企業から材料の製造元を調べるよう求められ、「通常業務が圧迫されている」とこぼす。

 神戸製鋼幹部は「ブランドは失墜した」と語る。今後、海外の自動車メーカーなどから損害賠償を求められる可能性もあり、信頼回復の道のりは険しそうだ。【宇都宮裕一、久野洋、土屋渓】

神戸製鋼所

 1905年、商社の鈴木商店傘下で創業。主力の鉄鋼事業は国内シェア3位。阪神大震災を機に発電事業に参入するなど事業の多角化を進めているが、鉄鋼や建設機械の不振が響き、連結決算は2期連続の最終(当期)赤字。過去にも不祥事が相次いでおり、99年に総会屋への利益供与で元専務らが書類送検された。2008年に子会社で鋼材の強度試験データ捏造(ねつぞう)が発覚、16年にはグループ会社でステンレス製品の検査データ改ざんが判明し、いずれも日本工業規格(JIS)認証を取り消されている。

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