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社説

文化の日の改称運動 復古主義と重なる危うさ

 きょうは文化の日。現行憲法が71年前に公布された日でもある。

     戦前の11月3日は「明治節」と呼ばれる祝日だった。明治天皇の誕生日に由来する。

     戦後に名称が変わったのは、新憲法制定時の首相、吉田茂がこの日を公布日に選んだためだ。公布から半年後の5月3日が自動的に憲法の施行日になり、両日はともに憲法を母体とする祝日になった。

     ところが、数年前から11月3日を「明治の日」に改称させるための政治活動が目立ち始めた。2011年に結成された明治の日推進協議会には、右派団体「日本会議」系の人びとが数多く名を連ねている。

     見過ごせないのは、安倍晋三首相と思想・信条が近い政治家が積極的に運動を後押ししていることだ。

     稲田朋美元防衛相は先週末に開かれた関連のシンポジウムに対し「私も明治の日創設の法律化に向け、同志の皆様と手を携えて全力を尽くします」とのメッセージを寄せた。

     古屋圭司衆院議運委員長(自民)も主要な応援メンバーだ。昨年は代表して明治の日実現を求める60万筆余りの署名簿を受け取っている。

     なぜ彼らはこれほどまで明治の日の制定にこだわるのか。

     推進協議会は、祝日法が文化の日の意義として示している「自由・平和・文化」について「特定の一日とあえて結びつける必要があるのか」と疑問を投げかけている。

     ただ、それ以上に活動を支えるのは現行憲法に対する拒絶感だ。すなわち憲法は占領軍による「押しつけ」だから、憲法と密接な文化の日も葬り去りたいのではないか。

     憲法改正による戦後レジームからの脱却を訴えてきた安倍首相らの考え方と根っこは同じであろう。明治時代への漠としたノスタルジーや戦前回帰の感覚がそこに連なる。

     衆院選で勝利した首相の最終目標が改憲であることは間違いない。しかも、来年は明治維新から150年の節目であるため、首相は「明治の精神」に学ぶ機運と改憲を絡めて盛り上げようとする可能性がある。

     時代の変化に憲法を適合させることは大事だ。しかし、明治の日制定運動につきまとう復古主義的な発想から出発する限り、まともな憲法議論にはなり得ないだろう。

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