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社説

朝鮮通信使が世界の記憶に 尊重しあう姿勢学びたい

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 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に、群馬県の古代石碑群「上野(こうずけ)三碑(さんぴ)」と江戸時代の外交資料「朝鮮通信使に関する記録」が登録された。

 上野三碑には、漢字や仏教を日本にもたらした渡来人の足跡が刻まれている。朝鮮通信使の記録と共に、日本と大陸文化の交流を物語る貴重な資料だ。登録を歓迎したい。

 記憶遺産は、歴史的な資料をきちんと保存し、後世に伝えようという事業だ。国だけでなく、民間が申請することもできる。今回は、慰安婦問題に関する資料も審査されたが登録見送りとなった。

 通信使の記録は、日本と韓国の民間団体が共同申請した。5年前に準備を始め、慰安婦問題などで両国関係が悪化する中でも協力を進めた。対等な立場で共通の目標を追求したことは日韓協力のモデルケースになりうる。

 江戸時代の通信使は、豊臣秀吉の朝鮮出兵で断絶した日本と朝鮮の国交回復を図るために始まった。

 当初は日本に連行された捕虜を朝鮮に連れ戻す使節とされたが、後には将軍の代替わりなどの際に派遣されるようになった。幕末までに計12回を数えた。

 登録された300点超の記録物には、通信使が各地で残した漢詩や日本の文人と筆談で交わした会話などが含まれる。江戸時代の日本人にとっては外国文化に直接触れる貴重な機会だった。

 歴史を顧みるのは、未来を考えるかがみとするためだ。朝鮮出兵で失われた信頼関係を再び構築した通信使の営みに学ぶべき点は多い。

 対朝鮮外交の窓口である対馬藩に仕え、通信使をもてなした儒学者の雨(あめの)森芳(もりほう)洲(しゅう)は「誠信の交わり」を旨とした。「互いに欺かず、争わず、真実をもって交わる」というものだ。

 芳洲は一方で、善意だけでは浮ついた理想論にしかならないとも説いた。相手のことをよく知ったうえで誠意ある対応を取ることが、円滑な関係につながるのだ。

 現代においても外交の基本は変わらない。歴史や習俗、考え方の違いを踏まえつつ、相手を尊重する姿勢が双方に求められる。特に、摩擦が生じやすい隣国との関係においては重要な点だろう。

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