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松原隆一郎・評 『経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史』=ダニエル・コーエン著

 (東洋経済新報社・2160円)

 『21世紀の資本』の登場で、経済問題として所得分配の極端な偏りが注目を浴びるようになった。けれども人々の所得がそれなりに成長するなら、格差への関心は薄れるだろう。かつての中国は階級・階層間における激しい対立と紛争に明け暮れたが、この三十年間は労力を各人の経済活動に集中させてきた。格差は厳然として存在するにせよ、それぞれが働いただけ所得を伸ばすことができたからだ。そこで多くの国は経済政策として経済成長を優先している。

 ところが近年、国全体として経済成長しても、階層によっては賃金が伸びないという現象が目立つようになった。これでは格差問題が再燃してしまう。また技術革新が生じても、雇用や成長にはつながりにくくなっている。それでは技術革新を経済成長の原動力として目標に据える意味がなくなってしまう。

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