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「万葉古道」を尋ねて

万葉の時代の暮らしを支えた「古道」。わずかな手掛かりを頼りにいにしえの道を尋ねます。

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「万葉古道」を尋ねて

交流・別れ・流浪/9 防人が来た道/9 変遷する草木への思い /奈良

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道路のコンクリート壁から垂れ下がったヒカゲノカズラ。日当たりのいい場所に育つ=奈良県五條市で、栗栖健撮影
道路のコンクリート壁から垂れ下がったヒカゲノカズラ。日当たりのいい場所に育つ=奈良県五條市で、栗栖健撮影

 万葉集巻十六の縵児(かづらこ)の名にある縵は、柳の枝やツル植物、花などで作った髪飾りだ。元々は植物の生命力をもらうわが国古代の習慣が起源とみられる。

 男たちによる求婚合戦の末に縵児が命を絶った後、嘆いた2人の男はそれぞれ歌の中で「山縵(やまかづら)の児」、「玉縵(たまかづら)の児」と呼びかけた。

 山縵、玉縵は、シダ植物のヒカゲノカズラ。名前とは異なり、日が当たる場所に多い。杉の葉のような常緑の細い茎が地面をはう。古代から神事に使われた。巻十六には、縵児の話の前に桜児の伝承がある。

 2人の壮士が桜児に求婚し、命を懸けて争う。娘は「私が死んで戦いがやむなら」と死を決意し、林に入る。

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