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終わらぬ日銀の異次元緩和 長期化の弊害を直視せよ

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 株価の上昇が止まらない。きのうの東京市場では、日経平均株価が400円近く値上がりし、25年10カ月ぶりの高値で取引を終えた。景気も「実感がない」と言うものの、戦後2番目に長い拡大を続けている。

 ところが、日銀による異例の金融緩和は、終わりに向かう気配もない。

 金融政策を危機対応型から「平時」のものへ戻す動きを強める米欧諸国との差は広がるばかりである。

 日銀が金融政策の正常化に動かないのは、物価上昇目標「2%」の達成に固執しているためだ。

 確かに現状は1%にも届いていない。このほど日銀が発表した物価見通しでは、今年度の上昇率が0・8%と、7月時予測の1・1%からさらに引き下げられた。

 2019年度になっても2%を安定して達成することは困難だと日銀はみている。つまり、ゼロ%近辺という、極端に低い金利がこの先も相当期間続くということだ。弊害を懸念せずにはいられない。

 まず、銀行経営への悪影響がある。特に地方金融機関における収益悪化が気になる。金融庁の報告書によると、従来型の貸し出し業務で得られる金利収入が細る中、よりリスクの高い有価証券取引や不動産向け融資を増やす動きがみられるという。

 「もはや金利は上がらない」と社会全体が信じ込むようになってしまうのも気がかりだ。

 政府による国債発行にせよ、株式や不動産の市場にせよ、異次元緩和の継続を想定している。正常化へかじを切ろうとした途端、市場で激しい反動が起こりはしないか。

 株や不動産のバブルを膨らませ、それが崩壊した時に打てる策もほとんどない、という事態も心配だ。

 こうした懸念に限らず、異例の政策の長期化がもたらす弊害を案じるのは当然だろう。ところが、黒田東彦総裁は、長期化に潜むリスクについて記者会見で繰り返し問われても、正面から答えようとしない。

 「2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するために、現在の金融緩和を粘り強く続けていくということに尽きる」と言うばかりだ。

 物価上昇率が2%になりさえすればいい、ではないはずだ。木を見て森を見ない政策は、いずれ国民に高い代償を払わせることになろう。

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