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余録

クリスマスが近づくこの季節…

 クリスマスが近づくこの季節、お店のショーウインドーは華やかに飾りつけられるが、それをウインドードレッシングという。この言葉は企業などの業績を実態より良く見せる粉飾を表すのにもよく用いられる▲では昔の日本人は商売や暮らし向きの粉飾を何にたとえたか。「世間こそ張り物なれと月の夜にちょうちんともす人もありけり」。張り物とは芝居の張りぼての大道具、月夜のちょうちんで見せかけのぜいたくをからかう狂歌である▲「人の内(ない)証(しょう)は張り物」。つまり世間のことや人の身代(しんだい)は見せかけが多いというのが江戸の人の常識らしい。「内証」とは内輪の経済状態のことで「ないしょ」の語源である。「内証は火の車」といえば、やりくりに苦しむ内情をいう▲この春、多数のツアー客を海外で立ち往生させる騒ぎを起こして破綻した格安旅行会社「てるみくらぶ」の社長らが詐欺容疑で警察に逮捕された。経営の実態を粉飾した書類によって、銀行から2億円の融資を引き出した疑いという▲航空機の余った座席のネット販売で急成長し、格安ツアーを手がけた同社だったが、すでに3年前に債務超過に陥っていたという。架空利益の計上などで黒字を装ったが、ついに旅行会社として最悪の形で「張り物」が破れたわけだ▲旅行代金を前払いした客も「だまされた」との思いはぬぐえまい。およそ旅人の安心は旅行ビジネスの原点である。火の車に追われながら、月夜にちょうちんをともす旅行会社は二度と現れないでほしい。

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