連載

科学の森

科学や環境問題を専門に取材する記者が、身近な話題を図解を交えてわかりやすく解説します。

連載一覧

科学の森

重力波天文学、新段階へ 中性子星で初観測、重元素の謎解明に迫る

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 米欧の国際研究グループが8月、高密度の特殊な星「中性子星」が衝突・合体した際に出た重力波の観測に初めて成功した。中性子星は電磁波などの多角的な観測が可能で、重元素の誕生といった宇宙の謎の解明に迫りつつある。重力波天文学の最前線を取材した。【酒造唯】

 ●言えなかった吉報

 「まったく新しいタイプの重力波を検出した」--。8月17日午後10時(日本時間)ごろ、米国の重力波望遠鏡の研究チーム「LIGO(ライゴ)」から発信されたメールが、世界各国の研究者に届いた。重力波を研究するキップ・カンノン東京大准教授も受信した一人。「東京の焼き鳥屋にいたが、慌てて研究室に戻った」と振り返る。

 重力波は2015年9月以降、計4回観測されていたが、5回目(8月17日)は様子が違った。過去4回はいずれも太陽の質量の18~30倍という巨大なブラックホールの衝突・合体で放出された重力波で、その信号は1秒以下だったが、5回目は6分以上。小さい天体ほどゆっくりぶつかり、衝突開始から終了までに出る信号も長い性質があることから、5回目の重力波はブラックホールではなく、太陽の質量の1・2~1・6倍程度の…

この記事は有料記事です。

残り1251文字(全文1741文字)

ご登録から1カ月間は100円

※料金は税別です

あわせて読みたい

注目の特集