トンネルの壁はしっとりとぬれ、ひんやりした空気が辺りを包む。フィリピン・ベンゲット州イトゴンの金鉱山。闇の中、額に付けたライトを頼りに、シェルドン・ダオ・アイさん(17)が金属の棒とハンマーで、金鉱石が混じった壁の岩を打ち砕く。「カン、カン、カン」。乾いた音が闇に響いた。
6月から、生まれ故郷のカリンガ州を離れ、住み込みで働き始めた。「地元は働き口がなかったから」。軍の非正規兵の父と、コメ農家の母は小さな木造住宅で暮らし、カボチャやほうれん草を食べて糊口(ここう)をしのぐ。「家族を楽にしたい」。資金をためて軍の試験を受け、そこで働くのが目標だ。
山小屋の竹製のベッドで疲れを取り、午前8時から正午まで、金鉱石を採りトロッコなどで外へ運ぶ作業を続ける。昼休み後、午後11時まで及ぶことも。「仕事は本当に大変。毎日ほふく前進しながら潜っているよ」。休みは週1日。それでも7月は思うように金鉱石が採れず、収入はほとんどなかった。
この記事は有料記事です。
残り774文字(全文1196文字)
毎時01分更新
日本医科大付属病院(東京都文京区)が、同大学に在籍する院生…
<くらしナビ・環境> 食品のトレーやペットボトルなど、日用…
米国のバイデン新大統領が就任し、注目されるのが米中関係だ。…