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余録

ギリシャ神話のシジフォスは…

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 ギリシャ神話のシジフォスは巨大な岩を山頂へ押し上げる苦行を神々に科せられた人物だ。押し上げた岩はすぐに谷底に転がり落ち、彼は果てしないこの徒労を繰り返す。では、なぜこんな罰を受けたのか▲それは死の神タナトスをだまして監禁し、その間人間が死ななくなったからだ。タナトスは寿命の尽きる人の元を訪れ、その髪を一房切って冥界(めいかい)の神にささげ、死者を連れ去る役目だった。この神は夜の息子で、眠りの兄弟とされる▲タナトスがよく知られるのは、フロイトの精神分析学で死の欲動がそう呼ばれたためである。寿命どころか人生はこれからという若者も誘惑しに現れるこの欲動だ。胸が悪くなるのは、そんな心の揺らぎに乗じる底知れぬ冷血である▲神奈川県座間市のアパートの9遺体全員の身元が判明した。新聞紙面に並んだ若い被害者の顔写真のまなざしを見ていると息が苦しくなる。悪魔的なたくらみにとらわれるまでに、それぞれ思い迷ったろう心の軌跡を想像するからだ▲少年少女が大人になる道はいくつにも分かれている。心の奥から聞こえる声は、時として若者を死の欲動も潜む暗い危険な森へと導く。昔は静かに彼らの成長を促したその森に、今やあらゆる悪意や欲望が忍び込むネット社会である▲なかにはタナトスを装って若い命をもてあそぶ魔物までいることを思い知らせた事件だった。暗い森をさまよいながらその後の人生の道を見つけたかつての若者なら、今の若者のためになすべきことがあろう。

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