暗闇の中を、額にライトを付けた少年がはしごをつたい登る。作業着は泥だらけだ。タイ国境沿いのカンボジア・バタンバン州プノンプロック。零細小規模金採掘(ASGM)の現場で、ボン・エムさん(15)は山の斜面に掘られた深さ11・5メートルの穴に潜り、金鉱石を採る作業を続ける。
「両親が土地を借りてコメを作っていたんだけど、洪水で収穫できなくて借金が残ったんだ」。東に約300キロ離れたコンポントム州の実家を離れ、兄のボン・アエムさん(17)と、借金返済のため昨年から住み込みで働く。学校はやめた。
兄弟は午前5時に起き、朝食後に穴へ潜る。電動ドリルで金鉱石を砕き、袋に入れて地上へ引き上げる作業。「1袋30キロにもなる。運ぶのが本当に大変なんだ」とエムさん。昼にパパイアや豚足のスープを食べ、午後4時まで続ける。泥だらけの体を水で流し、夕食後は疲れ切った体を蚊帳の中で休める。
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