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蛍光シルク 製品化に道 遺伝子組み換え蚕の大量飼育成功

蛍光カイコの繭。特殊ライトを当てると緑色に光って見える=前橋市総社町の群馬県蚕糸技術センターで2017年11月2日午後5時16分、鈴木敦子撮影

 紫外線ライトを当てると緑色に光って見える「蛍光シルク」を作る遺伝子組み換え蚕の大量飼育に、前橋市の養蚕農家が世界で初めて成功し、1日に繭を出荷した。注文した西陣織の老舗「細尾」(京都市)はアートやインテリアでの活用を目指す。

光が当たっていない時も普通の繭より緑色がかっているのが特徴=2017年10月31日撮影、群馬県蚕糸技術センター提供

 この「緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産蚕」は、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩さんが発見したオワンクラゲの緑色蛍光たんぱく質を使い、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構」が08年に開発した。暗闇で紫外線ライトを当てると、緑色に光って見える。

 遺伝子組み換え生物の取り扱いは、生物多様性への影響防止のための「カルタヘナ法」で規制されており、前橋市の養蚕農家で飼育する際に同機構と群馬県蚕糸技術センターが協力。自然界の生物と接触しないよう窓に網を設置▽餌の桑を粉砕処理して廃棄--などの対策によって飼育の条件をクリアした。農林水産省と環境省の承認を得て、実用化に向けた研究を重ねて大量飼育に成功した。

 10月上旬から約2週間かけて12万匹の蚕に桑を食べさせた結果、176.1キロの繭ができた。同センターによると「ベテラン農家の適切な温湿度管理で予想以上に多くの繭ができた」という。

 国内の養蚕業が厳しい状況の中、同センターは「最先端科学と農家が長年培ってきた養蚕技術が結びつき、世界でオンリーワンの糸ができた」と意気込む。青やオレンジの蛍光シルクも開発中で、関係者は「地方発のイノベーションで国内外に羽ばたいてほしい」と期待を寄せる。【鈴木敦子】

 【ことば】国内の養蚕業

 農林水産省などによると、養蚕農家は1929(昭和4)年に221万6000戸超あったが、化学繊維の普及や海外からの安価な絹製品に押され、2016年は349戸にまで減少。繭の生産量もピーク時の30年の約40万トンから130トン(16年)へと激減した。群馬では明治時代に世界遺産の富岡製糸場が造られるなど古くから養蚕が盛んで、16年の繭生産量は約46トンで国内の35%を占め全国1位。

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