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余録

「深紅の紅葉と深緑が交錯する谷間から上を見上げれば…

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 「深紅の紅葉と深緑が交錯する谷間から上を見上げれば、高くそびえる岩壁が青空を切って走っている。確かに日本の美しさは数え上げれば堂々たる大冊の目録となるであろう」▲英国の日本研究家チェンバレンは英マレー社の日本旅行ガイドの著者でもあった。主著「日本事物誌」では先のように明治日本の自然美をほめたが、同じ箇所に日本で文化的な社交が恋しくなったらすぐに帰国しなさいと書いている▲日本の紅葉を見る今の外国人には、おもてなし文化も楽しんでもらっていよう。ただ訪日客の消費の中での買い物や飲食以外の娯楽・サービス費の割合は欧米の観光大国に比べ格段に低い。文化的な要求に応える余地はまだまだある▲今年の訪日外国人数は早くも昨年の2404万人を上回り、年間2800万人超えが見えてきたという。5年前にはわずか800万人だったから隔世(かくせい)の感がある。その消費も9月までに3兆円を突破し、初の4兆円の大台をうかがう▲この調子なら税を取れると思うのが「国」の本能か。訪日外国人や日本人の出国時に1000円程度を徴収する「観光促進税」を2019年度にも導入する動きである。400億円を超える税収は観光関連施策の充実にあてるという▲誰しも心配になるのは、せっかくの訪日客急伸や日本人の海外旅行の足を引っ張る逆効果である。「官吏は多く、権力は強い」もチェンバレンの日本観察だが、現代の日本の観光ガイドにもそう書かれないよう十分な論議が求められる。

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