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旧優生保護法を問う

旧優生保護法下で不妊手術を強制された障害者らの記録に関する毎日新聞の全国調査で、強制手術を受けた人の約8割に当たる1万2879人の資料が確認できなくなっていることが判明した。「記録のない被害者」をどう特定し、救済につなげるか。

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障害者の強制不妊手術

審査経緯明らかに 検診録など発見

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神奈川県立公文書館に保存されていた文書の一部。優生保護審査会に出された家系図や本人の成育歴が詳しく分かる=上東麻子撮影
神奈川県立公文書館に保存されていた文書の一部。優生保護審査会に出された家系図や本人の成育歴が詳しく分かる=上東麻子撮影

 旧優生保護法の下で実施された障害者の強制不妊手術について、手術を申請した理由や経緯を記録した資料が神奈川県立公文書館で見つかった。10代女性が「月経の始末もできない」として対象になるなど、優生手術の具体的状況が公文書で初めて明らかになった。

 発見されたのは1962年度と63年度、70年度の公文書で、強制不妊手術の適否を決める優生保護審査会に提出された申請書や検診録など。対象者の生活史や家系図、申請理由が書かれていた。利光恵子・立命館大研究員が資料を分析して存在を確認した。

 63年度の手術費明細書からは、優生保護法で認められていない卵巣摘出をした例や、手術で合併症を起こした例があったことも分かった。62年度の資料によると、「仕事熱心で成績も優秀」とされた男性が統合失調症を発症後、半年後には症状が好転していたにもかかわらず断種手術の対象になった。

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