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社説

学校の頭髪黒染め指導 理不尽な強要ではないか

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 大阪の府立高校で、生まれつき茶色の髪を黒く染めるよう強要され、精神的苦痛を受けたとして、3年生の女子生徒が府に損害賠償を求めて提訴した。

     訴状によると、生徒は入学以来、執拗(しつよう)に黒染めを指導され、度重なる染色を強いられた。そのため2年生の秋から不登校になり、文化祭や修学旅行にも参加させてもらえなかった。さらに3年に進級する時に生徒の名がクラス名簿から削除された。

     これらが事実だとすれば理不尽な強要であり、生徒の身体や容姿を否定する人権侵害に当たる。生来の髪の色は個人によって違う。黒髪以外は認めないという指導は不適切だ。

     府は裁判で争う方針だ。府教委によると、学校は「生まれつきの髪の色を変えるような指導はしていない」と主張し、この生徒はもともと黒髪だったと判断して指導し続けたという。指導方法に問題がなかったのか府教委は事実関係を明らかにすべきだ。また訴訟とは別に、生徒が再び登校できる配慮も必要だ。

     頭髪に関する指導は、服装や遅刻対策とともに生徒指導の中心となってきた。校内暴力など「荒れる学校」が社会問題となった1980年代、管理教育が強まったことがある。パーマや染髪、脱色を禁ずる校則は今なお、多くの学校に残っている。

     頭髪指導をする理由として「他の生徒に悪影響を与える」「茶髪が多いと風紀が乱れていると判断される」などが挙がる。だが学校の評判を気にするあまり、生徒の尊厳を軽んじるような指導は許されない。

     そもそも「髪は黒色」という考え方が国際化社会にそぐわないのではないか。日本でも外国人留学生や外国にルーツを持つ生徒は年々増加している。そうした生徒たちが同じ教室で学ぶのは日常の風景になったことを認識すべきだ。

     髪の毛が生まれつき黒くない生徒が学校に届け出る「地毛登録制度」を導入している学校も少なくない。管理しやすいだろうが、出自などプライバシーに関する情報だ。慎重な運用が欠かせない。

     外見だけで決めつけず、画一的に押しつけることなく、生徒の内面を理解しながら成長に導く。これこそが本来の指導のあり方だ。全ての教育現場で自問してもらいたい。

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