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社説

自民の合区解消改憲案 「参院論」が単純に過ぎる

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 自民党は、参院選選挙区の「合区」を解消するための憲法改正案を検討している。

     同党の憲法改正推進本部は、改正案のたたき台を大筋で了承した。改憲の重点項目としている4分野のうち、9条改正による自衛隊の明記、緊急事態対応、教育無償化に比べて党内の議論が進んだ形となった。

     参院選の選挙区は都道府県を単位としてきた。だが、1票の格差を是正するため「鳥取・島根」「徳島・高知」両選挙区が昨夏の選挙から初めて1人区として統合された。

     自民が了承した案は1票の格差にかかわらず「広域的な地方公共団体」、つまり都道府県単位の選挙区から改選のたびに少なくとも議員1人が選ばれるようにするものだ。

     具体的には「選挙に関する事項は、法律でこれを定める」とした47条を改正して合区を解消する。現在、憲法には広域的な自治体を「都道府県」だと定めた条項はないため、自治に関する92条も改正して都道府県を明記するという。

     人口の大都市集中が進み、このままでは参院はさらなる合区を迫られる可能性がある。このため、1票の格差是正と都道府県単位の選挙区が両立しなくなりつつある。

     自民の検討もそうした事情を踏まえたものだろう。ただし、問題のとらえ方が単純に過ぎる。

     憲法上、衆院の優越が認められるのは首相指名、予算の議決、条約の承認に限られる。参院は衆院とほぼ対等な議決権を持っている。

     なのに、憲法14条に由来する投票価値の平等は衆院にだけ厳しく適用し、参院で緩めるというのでは理屈が通らない。都道府県単位を優先し、平等を犠牲にするのであれば、参院の権能を見直すことが避けられないはずだ。

     具体的には衆院の優越する範囲を広げ、参院は行政監視の府に再構築することなどが考えられる。同時に両院議員を「全国民を代表する」と規定した憲法43条との整合性も必要になる。

     合区解消の議論は本来、統治機構の見直しとワンセットで行われるべきだ。そんな覚悟を欠いたまま、自民党内で進む議論が金城湯池である「1人区」温存目当てだとすれば、ご都合主義と言わざるを得ない。

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