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ドイツ・ボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が閉幕した。
地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」のルール作りを加速し、世界各国の温室効果ガス排出削減目標の上積みを目指す「促進的対話(タラノア対話)」を2018年に実施することが決まった。
トランプ米政権がパリ協定からの離脱を表明後初めてのCOPだったが、各国が協調して温暖化対策に臨む姿勢は保たれたと言えよう。
パリ協定のルール作りでは、途上国は先進国より緩やかなルールの適用を求めている。米国が放棄した途上国への資金支援の穴をどう埋めるかなど難題は多いが、20年からのパリ協定実施に向け、各国は対立を乗り越え、交渉をまとめてほしい。
残念だったのは、石炭火力発電を重視する日本の姿勢が、環境NGOなどから激しく批判されたことだ。
石炭火力は効率が高い最新型でも二酸化炭素(CO2)の排出量が多く、温暖化対策に逆行する存在だと見なされている。今回のCOPでも、英国やカナダなど20以上の国や自治体が、石炭火力発電の廃止を目指す連合組織を発足させた。
ところが日本は、COP23の開幕日である11月6日に開いた日米首脳会談で、米国と協力して東南アジアやアフリカに高効率の石炭火力発電技術を輸出する方針で一致した。
東日本大震災後の原発停止や電力自由化を背景に、日本国内の石炭火力新設計画も40基以上ある。
このため、各国のNGOが、日本に対する抗議活動を会場で展開する異例の事態に発展した。
日本の中川雅治環境相が閣僚級会合で、温暖化対策で途上国への技術支援などを打ち出したことは評価できる。だが、脱石炭に向かう世界の潮流を読み違えれば、国際協調に反すると見なされかねない。途上国支援すら、評価されなくなる事態が生じる恐れもあるのではないか。
会場では、自治体や企業などの活動が目立った。米国内でパリ協定を支持する自治体の人口と国内総生産は全米の5割を占めるという。
石炭利用の是非を含め、温暖化対策には多くの利害関係が伴う。国家に限らず多様な主体が知恵を出しあい、取り組まねばならない。
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