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余録

「和解」を説くパレスチナ人医師がいる…

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 「和解」を説くパレスチナ人医師がいる。自治区ガザ出身のイゼルディン・アブエライシュさん(62)だ。紛争続きのパレスチナとイスラエルの平和的な対話と共存を訴える▲かつてイスラエルの病院に産婦人科医として勤めた。民族分け隔てなく患者に接し、医師と交流した。だが2009年、ガザの自宅をイスラエル軍に攻撃され、21歳、15歳、13歳の娘3人を目の前で失った。過激派掃討が目的の誤射とみられた▲にもかかわらず「報復と憎しみは悲しみを増幅させ、争いを長引かせる」と自分に言い聞かせた。思いをつづった自著の題は「それでも、私は憎まない」(亜紀書房)。カナダに移住し基金を設立し、民族間の懸け橋を築こうとしている▲ガザでは07年、パレスチナの主流派ファタハに代わり、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配を始めた。以来、イスラエルの封鎖政策は厳しさを増した。内部分裂と対立は混乱に拍車をかけた。今、失業率は40%を超え、物資は足りず、電力供給もままならない。住民は疲弊している▲そのファタハとハマスが和解へと動いている。ガザの行政権限を10年ぶりにファタハ主導の自治政府に戻し、将来的に統一政府を目指す。先には頓挫しているイスラエルとの和平交渉再開を見据える▲遠い道のりではあろう。だがアブエライシュさんは「前進」だと評価する。同胞の対立にせよ、民族の敵対にせよ「憎悪は病だ」と言う。いかに憎悪を除去し和解を実らせるべきか。適切な処方箋が必要だ。

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