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社説

山一証券の破綻から20年 激震で先送りされたもの

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 かつて4大証券の一角を占めた山一証券が倒産し、20年たった。同じ1997年11月には、準大手証券の三洋証券、都市銀行の北海道拓殖銀行も相次ぎ破綻に追い込まれた。

 翌98年には、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が国有化された。大手金融機関の「不倒神話」が崩れ、日本経済は不安にのみ込まれていった。20年前の11月は、激動期の始まりだったといえる。

 山一破綻の直接的原因は大がかりな損失隠しだった。ただ、不正の重大さ以上に、当時の大蔵省の方針転換が衝撃を持って受け止められた。

 「市場が無理な経営をとがめる形で動いてくれるのは、ビッグバン(金融制度改革)をやりたいと思った人間には好ましいと思う」。同省の証券局長は、市場の意思が働いた結果だと、倒産をむしろ歓迎した。

 しかし、新しい秩序が定まらないままの突然の金融行政の転換は、急激な景気の冷え込みへと発展した。

 実はこの少し前から、日本経済の水面下では、重大な構造変化が始まっていた。経済活動の担い手となる現役世代人口(生産年齢人口)が減少に転じたのだ。

 ところが政府は、目の前の激震への対応に追われ、長期的な課題への取り組みは先送りされた。

 当時の橋本龍太郎首相は財政構造改革を主要課題とし、赤字国債の発行を2003年度にゼロとする法律を成立させていた。しかし、同じ頃、山一が破綻し、混乱を受けて、たちまち財政拡大路線が復活した。

 問題は、財政出動や日銀の金融緩和といった公的サポートが一時的なものに終わらず、民間による自発的な経営改革へとバトンタッチできなかったことだろう。

 この間、米欧では企業や産業の新陳代謝が進んだ。経済産業省の資料によると、主要上場企業のうち、株主資本に対する利益の割合が15%以上という企業の比率が、欧州では37%、米国で45%あるのに対し、日本は5%しかない。

 安倍政権もようやくここへきて生産性向上や人口減少問題に言及するようになった。少なくとも20年前のような金融不安や景気の悪化は今はない。財政再建も含め思い切った改革を実行できる環境にあることを、今こそ認識すべきだ。

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