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くらしナビ・気象・防災

精密に風を読む、ドローン

日本気象協会が運用する気象観測用ドローン。機体上部に独自に観測機器を取り付けている=福島県南相馬市で10月25日(同協会提供)

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筑波大が名古屋市中区で実施した風のシミュレーション。ビル風などの向きや強さを矢印で示す=同大、ウェザーニューズ提供

 災害時の被災状況の確認や測量など、急速に用途が広がっている小型無人機・ドローン。国内の民間気象会社も、ドローンによる気象観測の実証実験を始めている。将来はドローンの運航管理システムの開発や、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた新たな気象情報の提供などにつなげようと、各社がしのぎを削る。

 ●五輪に向け実験

 9月13日、茨城県つくば市内で、風速や気温を測る機器を搭載したドローン4機が飛び立った。この実証実験を行ったのは、筑波大計算科学研究センターと民間気象会社「ウェザーニューズ」(千葉市)。上空150メートルまで5メートルごとの気象データを観測した。風については、同研究センターの事前予測と大きな差がない結果が得られた。

 実験の目的は、東京五輪に向け、マラソンコースなどの風向きや風速を精緻に予測する手法の確立につなげることだ。同研究センターは、ビル風などの影響で気流が複雑な都市部の風向きや風速を、1~100メートル四方程度の単位で計算する予測モデルの開発に取り組んでいる。その精度を検証するのがウェザー社の役割だ。20年夏までに実用化し、東京五輪で日本チームを支援したいと考えている。

 ウェザー社は、16年のリオ五輪・パラリンピックでも現地に観測機器を持ち込み、トライアスロンやセーリングなど7競技18チームに気象情報を提供している。東京五輪でも、マラソンや自転車競技など、コース上の風の動きがレース戦略に影響する。

 ウェザー社は今回の実験で、数十メートル単位の気象予測を目指している。ドローンビジネスプロジェクトグループのリーダーで、気象予報士の高森美枝さんは「東京五輪は(リオに比べ)観測網も整っている。気象状況を予測して、競技の戦略に生かしてもらいたい」と力を込めた。

 ●超低空飛び観測

 一方、日本気象協会(東京都豊島区)は14年から京都大防災研究所と共同で、上空1000メートルまでの風の状況や気温をドローンで観測できるかを実験している。今年4月には鹿児島県の桜島で実験を行い、火山灰の降灰予測にドローンを使った観測が有効なことも確認した。

 更に10月には福島県南相馬市で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同実験を実施した。ドローンで地上50メートル、100メートル、140メートルの気象を観測。現在主流となっている観測気球や上空の風を測る地上観測機器と、ほぼ同様の結果が得られたという。今後も実験を重ね、将来はドローン飛行空域の風の動きを予測する新たなモデルの開発につなげる計画だ。

 ●「空の産業革命」

 ドローンの活用は「空の産業革命」とも呼ばれている。その理由の一つは、ドローンが飛ぶ地上150メートルほどの低空域がこれまで活用されてこなかったことだ。気象会社も、地上向けや高度約1万メートルを飛ぶ旅客機向けの気象情報は提供してきたが、地上150メートルの「天気」には目を向けてこなかった。

 ただ、ドローンの登場により心配され始めているのがヘリとの接触だ。とりわけ災害時には、被災状況の確認といった目的で飛ぶドローンと、被災者捜索などのために通常より低空で活動するヘリの飛行高度が重なりやすい。

 「これからはヘリが離着陸しドローンが飛び交うという、低空域が混み合う時代になる」と、ウェザー社の高森さんは予想する。そこで同社が注目したのは、ドローンとヘリ、両方の「航空管制」だ。

 13年からウェザー社は、全国のドクターヘリの位置情報と飛行経路の気象情報を一括管理するシステムを運用する。持ち運び可能な位置情報管理のための端末(重さ約200グラム)を開発したところ、現在、全国の約9割のドクターヘリが導入している。この端末をドローンに搭載するなどし、ヘリとドローン、両方の位置情報を管理して飛行の安全を確保したいと考えている。

 ドローンの航空管制を巡っては、NEDOも運航管理システムの開発を進める。21年度まで5年間のプロジェクトだ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと、このプロジェクトに参加する日本気象協会環境・エネルギー事業部の井上実担当部長は「安全なドローン活用の時代に貢献したい」と話した。【金森崇之】

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