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余録

「これは弘法大師が焚いたありがたい護摩の灰で…

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 「これは弘法大師(こうぼうだいし)が焚(た)いたありがたい護摩(ごま)の灰で、丸めて飲めば万病が治り、頭から振りかければ災難を逃れる」。こんなふれ込みで灰を売り込む連中がいたらしい。「護摩の灰」という言葉の由来である▲江戸時代後期には「胡麻(ごま)の蠅(はえ)」と読みかえられ、旅人の物をくすねる盗人をいうようになった。それらがすべて死語となった今日に残るのは「ごまかす」という言葉だという。昔はよく「護摩かす」「胡麻化す」などと書かれていた▲なるほどお大師様が焚いた灰か、家の台所の灰かは見分けがつかぬ「ごまかし」である。だが昔の小悪党ならともかく、世界に名高い当世日本のものづくりを代表する一流素材メーカーで相次ぐごまかしの露見はどうしたことなのか▲神戸製鋼所の製品検査データの不正の根深さにあきれていたら、三菱マテリアルでも子会社の不正が発覚、きのうは東レ子会社のデータ改ざんが明るみに出た。過去に規格外の製品を150件近く13社に出荷していたとの発表である▲たまたま前日に東レ出身の榊原定征(さかきばら・さだゆき)経団連会長が企業不正対策につき「実効あるガバナンス(企業統治)構築」を求めた直後だった。間が悪かったのはその通りだが、ガバナンスの底はこんなふうに抜けつつあるのかと疑いたくなる▲三菱マテリアルの子会社ではトップが不正を知りながら出荷を続け、東レの場合はネットでの暴露により不正公表にいたった。今や「護摩の灰」呼ばわりを真に恐れてほしい日本のものづくり企業の経営陣だ。

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