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中村文則の書斎のつぶやき

芥川賞作家・中村文則さんが、いろいろな場所の「書斎」から、さまざまなことをつぶやきます。

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中村文則の書斎のつぶやき

性犯罪は加害者の問題

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 「Black Box」(伊藤詩織著)を読む。この本は、多くの人に読まれるべき一冊だと感じた。

 見知らぬ者から強姦(ごうかん)被害を受ければ犯罪とすぐ認識できるが、伊藤氏のケースのように、相手が知人で、しかも記憶の一部がない場合(伊藤氏は、薬により意識を失ったと主張している。目が覚めた時、すでに男性が体の上に乗っていたという)、自分に起こったことを正確に理解するまで時間を必要とする。「なかったことにしたい」強烈な意識も働き、受けた精神のダメージは当然すさまじく、事件化するための身体検査等まですぐ思いが及ばないことがある。

 だが著作にある通り予備知識があれば、ぼうぜんとした自我でも行動できる。伊藤氏は、自分が十分にできなかったことも、これから被害に遭うかもしれない人たちに対し、懸命に伝えようとしている。知識があれば、もし近親者が同じ被害を受け相談された場合も対応できる。

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