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社説

天皇陛下の退位日決まる 国民本位を貫く姿勢こそ

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 平成時代があと17カ月で終わることが事実上、決まった。天皇退位を可能とするための手続きとして、大きな節目である。

     天皇陛下が2019年4月末に退位される日程が皇室会議で固まった。皇太子さまは翌5月1日に新天皇に即位され、その日から新元号に切り替わる。

     政府は8日に退位日を正式に閣議決定する。天皇の在位期間と元号を一致させる一世一元制が明治時代に始まって以来、政府が退位日を決めるのは初めてのことだ。

     昨年8月8日、天皇陛下は退位のご意向をにじませる「おことば」を表明された。その理由として、高齢に伴って「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています」と述べた。

     憲法1条は天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定めている。このため、主権者である国民は、おことばの表明以降、陛下の考えをどう受け止めるべきか問われてきた。

    政府は暮らしに配慮を

     有識者会議、衆参両院議長の下での議論を経て、皇室典範の特例法ができ、それに基づいて皇室会議が開かれた。退位に向けた節目を迎えたことは、長い天皇制の歴史で画期的なことだ。

     だが、退位時期が4月末となったことには戸惑う人も少なくないのではないか。区切りのいい年末や年度替わりではなく、半年足らずの間に西暦、年度、元号が順次替わっていくことになる。政府には国民生活への影響を最小限にとどめることが求められる。

     政府は当初、18年12月31日に天皇陛下が退位し、19年1月1日に新天皇が即位する日程を検討していた。喪に服す必要がなく、退位後、即位に関連する行事にスムーズに移行できると考えられた。

     しかし年始は祝賀行事や宮中の祭事が多い。19年1月には昭和天皇逝去30年の式年祭が行われ、皇室が多忙なことから宮内庁が難色を示していた。こうした皇室の事情を考えれば、年末の退位を避けたことはやむを得まい。

     その後、政府内で急浮上した日程は、宮内庁が想定していたとみられる年度末ではなく、4月末での退位案だった。

     3月末に予算案をめぐる国会審議が大詰めを迎え、4月には4年に1度の統一地方選などが予定されている。このため首相官邸は「静かな環境での皇位継承」を求めたという。

     19年夏には参院選が予定され、憲法改正の国民投票が同時に行われる可能性も指摘されている。この「静かな環境」が拡大解釈され、政権に都合のいいように利用されるようなことがあってはならない。

     退位をめぐっては、当初から官邸と宮内庁側との駆け引きや主導権争いが水面下で続いたと伝えられている。天皇の代替わりに関わる手続きは、あくまで国民本位で進められなければならない。

    議事録の公表が必要だ

     きのうの皇室会議には安倍晋三首相ら三権の長や皇族など10人が出席し、非公開で行われた。誰がどんな意見を述べたかは不明だが、皇室会議が法律に基づいて開かれたものである以上、詳細な議事録の公表が必要である。

     新元号の公表時期も今後の焦点となる。陛下は昨年8月のおことばで、天皇逝去による代替わりについて「社会が停滞し、国民の暮らしにさまざまな影響が及ぶことが懸念されます」と述べた。

     今回は逝去による代替わりでないことから、事前に準備を進めることができる。来年夏ごろの日程が有力だが、カレンダーや手帳を作る業者などに配慮し、政府内ではさらに前倒しする案も浮上しているという。できる限り早く新元号を公表することが望ましい。

     元号に対する国民の関心は高い。有識者懇談会などによる議論も含め、どのような経過を経て新元号が決まったのか、最終的にはオープンにするべきだろう。

     天皇陛下は皇太子時代、好きな言葉として論語の一節にある「忠恕(ちゅうじょ)」を挙げたことがある。人の心を自分のことのように思いやる精神という。陛下はまさにこうした姿勢で国民に接し、象徴天皇としての役割を模索してきた。

     だからこそ、時代の転機を迎えるにあたって政府に求められるのは国民本位の原則を貫くことである。

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