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橋爪大三郎・評 『欲望論 第1巻「意味」の原理論』『欲望論 第2巻「価値」の原理論』=竹田青嗣・著

 (講談社・4320円、4104円)

 圧倒的な議論の密度。現代哲学のフロンティアのその先へと踏み出す、創造的な業績だ。二○一七年は竹田青嗣氏の『欲望論』二冊の刊行年として、記憶されるだろう。

 全体を貫くのは「ゴルギアス・テーゼ」。何ものも存在しえない/存在しても、認識しえない/認識しても、言語化されえない、という《懐疑論=相対主義の論理的原理》だ。哲学は古代ギリシャの昔から、この難題をめぐり苦闘してきた。竹田氏は『ソフィーの世界』のように、だがずっと本格的に、近代に至る哲学の歩みを語り直す。カントやヘーゲルの「完全解読」シリーズを書き継いできた著者ならではの手際である。

 竹田氏が《一切の哲学的原理の、総転回の試み》の足がかりにするのは、フッサール、ニーチェ、ハイデガーの三人だ。フッサールは、独我論の方法をとりながら、間主観的な確信が生まれる条件を追究する。ニーチェは、対象は欲望相関的にあらわれると洞察する。ハイデガーは、存在が実存にとって意味をもつ機制を明らかにする。しかしほとんどの哲学者は、三人を理解しなかった。三人は世界の「本体」があると考えるのをやめ、実存…

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