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中島岳志・評 『のこった もう、相撲ファンを引退しない』=星野智幸・著

 (ころから・1728円)

 今年、ずっと私の心に棘(とげ)となって刺さり続けている出来事がある。3月の大阪場所での稀勢の里の優勝である。

 横綱になってはじめての場所を迎える稀勢の里には、期待とプレッシャーがかかっていた。順調に白星を重ねたが、13日目に大けがをして、敗北。以後の出場が危ぶまれた。

 しかし、稀勢の里は強行出場する。14日目は、あっけなく敗退。まともに相撲がとれる状態ではなかったが、それでも千秋楽の土俵に立った。相手は大関・照ノ富士。誰もが稀勢の里の負けを確信する中、本割(ほんわり)と優勝決定戦に連勝し、優勝をもぎ取った。館内は熱狂と歓声に包まれた。大けがをした新横綱の逆転優勝に、賞賛の声が押し寄せた。

 私はテレビで取り組みを見ながら、悲鳴に近い声を上げた。この感情をいまでもうまく言葉にすることができない。稀勢の里を応援するファンとしての歓喜と「もうやめてくれ!」と切望する気持ち、そして熱狂への反発がない交ぜになって、言葉を失った。

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