否定と肯定 ホロコーストめぐり欧米と日本に距離感
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ホロコースト。ユダヤ人を中心とする人々に対してナチス・ドイツの行った暴力的迫害、強制収容、そして大量虐殺ですね。二度とこのような殺戮(さつりく)が起こってはならない、起こすことを容認してはならないという決意が、第二次世界大戦後の世界、少なくとも欧米諸国を支えてきたと言っていいでしょう。
それでも、ホロコーストはなかったという議論を立てる人がいます。殺害された人数がニュルンベルク裁判に認定された600万人よりも少ないという主張に始まって、強制収容所にガス室は存在しなかったとか、ヒトラーによる虐殺の指示はなかったという主張、さらにホロコーストはユダヤ人と連合国によるでっち上げだという主張もある。この映画はその、ホロコースト否定に関わる実話の映画化です。
アメリカの歴史学者デボラ・リップシュタットがその著書「ホロコーストの真実」においてホロコースト否定論を退けたところ、その著書で言及のあったイギリスのデイヴィッド・アーヴィングが、名誉を傷付けられたと訴えました。訴えた場所がイギリスなので、争うならイギリスまで行かなければならない。また、名誉毀損(きそん)なら訴えた側が立証すればよいように思いますが、イギリスの司法制度では訴えられた側に挙証責任があ…
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