連載

たしなみの文化考

文化人、識者らの趣味・嗜好(しこう)を紹介しながら本業との相関や豊かな生き方を探ります。

連載一覧

たしなみの文化考

/8 華道家・笹岡隆甫さんの建築巡り 「空間」「場所性」哲学の時間

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
流響院の庭園を散策し、建物や紅葉の庭を眺める笹岡隆甫さん=京都市左京区で、小松雄介撮影
流響院の庭園を散策し、建物や紅葉の庭を眺める笹岡隆甫さん=京都市左京区で、小松雄介撮影

 <くらしナビ・カルチャー>

“本業”に通ずるロジカルさ 花の命を生かしきるため

 11月のある日曜、華道「未生流笹岡」の三代家元、笹岡隆甫さん(43)は、早朝から京都市左京区の流響院で花を生けていた。流響院は、元は福地庵、巨陶(ことう)庵などと呼ばれ、東郷平八郎や川端康成、チャプリンらも訪れたという名所。近年、近代日本庭園の礎を築いた七代目小川治兵衛による回遊式庭園と数寄屋造りの建物が復元され、東山を借景に約70種1000本以上の木々が四季折々の表情を見せる。「お月さんが池に浮かんでる姿もいい、非常に優雅な時間を過ごせる場所ですね」。趣味は建築巡りという笹岡さんおすすめの場所でもある。

 流響院ではこの日午後、文化人らを招いた紅葉鑑賞会が予定されていた。「お庭にはない植物で“紅葉”を生けたい」。そう願った笹岡さんは、陶芸家・四代諏訪蘇山さんによる「曙(あけぼの)」と「星の誕生」をイメージした二つの花器を「陽」と「陰」に見立て、ニシキギやユキヤナギなどを手際よく挿していく。花にとっての器は「人間にとっての服」といい、生けるときに最も大切にするのは、庭も含めた「空間」だという。

この記事は有料記事です。

残り1388文字(全文1880文字)

あわせて読みたい

注目の特集