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三浦 天紗子・評『健康格差』NHKスペシャル取材班

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健康になる環境作りは国家や社会の仕事

◆『健康格差』NHKスペシャル取材班(講談社現代新書/税別780円)

 世界に誇る国民皆保険制度によって、日本人の健康格差が小さかったのは過去の話。いまや長寿大国の称号や健康長寿の目標は脅かされている。

 WHO(世界保健機関)が指摘する通り、健康格差を生み出す背景には「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の四つが深く関わっている。特に、経済力の違いが生む健康リスクは大きく、生活習慣病ともいえる2型糖尿病、精神疾患、肥満、脳卒中、歯周病など多岐にわたる。若年化、重症化も著しい。また、貧困世帯の子どもの肥満の増加など、健康格差が世代を超えて連鎖する懸念も生まれている。

 その一方で、本書が紹介する、格差解消の一助になった国や地域によるいくつかの取り組みがすばらしい。英国では国を挙げて減塩に取り組み、心疾患と脳卒中の死亡者数を減少させた。米国では、貧困地域に進出する生鮮食料品店の税制を優遇して野菜などが買いやすい状況を作り出している。国内に目を向ければ、東京・足立区では、野菜を先に食べる「ベジ・ファースト」の食習慣が身につくようなサービスを、飲食店の協力により提供…

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