この男、危険。そう書かれた2008年の個展ポスターが部屋のドアを飾る。作業場には使用済みの薬きょうが山と積まれ、「LIBERTY」(自由)と刻まれた黒光りの大砲がこちらをにらむ。神戸市西区の山中にある現代美術家、榎忠(えのきちゅう)(73)のアトリエはさながら革命を準備する秘密基地のようだ。旋盤工として金属加工会社に定年まで勤めながら、主に鉄の廃材を使った作品を発表。重厚な作風とは対照的に小柄で、エノチューの愛称で親しまれる。
作品にしている使用済みの薬きょうは、主に沖縄の米軍キャンプに集められたもの。「撃った後の薬きょうが…
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