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記者の目

青酸連続殺人、地裁死刑判決 認知症と向き合う裁判に=飼手勇介(京都支局)

初公判では一般傍聴席58席に対し、614人が整理券を求めた=京都市中京区で2017年6月26日午前、小松雄介撮影

 近畿3府県で起きた青酸化合物による連続殺人事件の裁判員裁判で、京都地裁は11月7日、筧(かけひ)千佐子被告(71)に死刑を言い渡した。過去2番目に長い135日間の公判のほぼ全てを傍聴したが、判決に至ってもなお、なぜ犯行に及んだのかなど事件の核心部分が見えてこなかった。私はその最大の理由が、司法が被告の「認知症」と正面から向き合わなかったことにあると感じている。

 一連の事件では、被告と結婚相談所で知り合った高齢男性が次々に死亡していたことが判明し、高齢化社会の裏面を浮き彫りにしたという点でも話題を集めた。被告は遺産の取得などを目的に2007~13年、事件当時70代だった男性4人を相次いで殺害したなどとして殺人3件と強盗殺人未遂1件の罪に問われた。物的証拠が乏しい事件であると同時に、被告は公判前の精神鑑定で軽度の認知症と診断され、事件当時に善悪を判断する責任能力があったか、裁判で自分を防御する訴訟能力があるかも大きな争点になった。判決は責任能力、訴訟能力ともにあると認定した。

 公判は今年6月26日に始まり、4事件ごとに分割審理された。初の被告人質問は7月10日。被告が何を語るのか注目された。最初に質問に立った弁護人が「どんな質問にも黙秘しますか」と聞くと、被告は「黙秘します」と述べた。ところが検察官に「殺害したことは間違いないか」と聞かれると「間違いない」と返答した。傍聴席から驚きの声が漏れた。さらに裁判員から、弁護人に対する答えとの違いを問われると、しばらく沈黙し「…

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