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ノーベル文学賞

イシグロさん「世界の分断埋める仕事を」

記者会見で熱心に質問に答えるカズオ・イシグロさん=ストックホルムのスウェーデン・アカデミーで2017年12月6日午後1時34分、鶴谷真撮影

ストックホルムのスウェーデン・アカデミーで記者会見

 【ストックホルム鶴谷真】今年のノーベル文学賞を受ける日系英国人の作家、カズオ・イシグロさん(63)が6日、ストックホルムのスウェーデン・アカデミーで記者会見を行った。「今、社会のあちこちで分断が深まっている。ノーベル賞は、人間がいかにして高みに達するかと、人々が融合できるかどうかを問うものだ。暗いムードを少しでも塗り替え、世界の分断を埋める仕事ができればうれしい」と力を込めた。

 ノーベル賞作家になることでの生活の変化については「今後、多岐にわたるテーマについて発言を求められるかもしれないが、自分の知っていることに専念していきたい」と、文学者の立場を守ると決意表明した。

 イシグロさんは長崎市で日本人の両親の元に生まれ、5歳の時に海洋学者の父の渡英に伴って家族で移住した。日本への思いを問われると「私の母は長崎に投下された原爆を経験した。今回の受賞決定を日本の皆さんが喜んでくれたのはとても光栄」とほほ笑んだ。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞決定にも触れ「私たちは冷戦が終われば世界が平和になると思っていたが、実際はより危険が増している。だからICANの受賞は喜ばしい」と語った。

 イシグロ文学の特徴は、記憶を都合よく改ざんしながら運命に流される人間の弱さを通し、歴史とは何かを問うのが基本姿勢だ。家族や芸術の力が失墜しつつある現代社会を、時代や場所をずらして比喩的に描き、簡潔な文体の奥にユーモアが漂う。

 現在、注目しているテーマを問われると「例えば人工知能。その発展が人類にどのような意味をもたらすのだろうか」とした。代表作のひとつ「わたしを離さないで」(2005年)でヒトクローンの問題を問うたように、科学技術への根強い関心を示した。

 今後の抱負については「なかなか書き終えられない小説を完成させるべきだと思いつつ、一方で、米国の漫画家から提案があった共同の仕事にも取り組んでいる」と意欲をみせた。

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