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<低く地を這(は)うような音、それが、たちどころに音階を駆け上がった。そして高いところ、眉の上と思われるぐらいの高さで、物憂げに歌った。青くゆったりとした風が吹いたように思った。(中略)さっと曲調を変えた。クラリネットが踊り始めた>
2007年の太宰治賞を受賞した瀬川深の小説「mit Tuba(チューバはうたう)」。クラシックからチンドンまで大胆きわまりない「東西の音楽の混淆(こんこう)」を持ち味に、即興性の高いバンドのクラリネット奏者が登場する。モデルは国内外で活躍するミュージシャン、大熊ワタル(57)だ。
広島県三原市出身。上智大在学中にパンクバンドに参加し、その後もシンセサイザーなどを駆使して前衛音楽を続けた。その頃、若手ミュージシャンに大きな影響を与えたサックス奏者がいた。篠田昌已(まさみ)(1992年、34歳で死去)である。
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