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INF条約

調印から30年存続の危機 米露が非難合戦

 【ワシントン会川晴之】調印から8日で30年となる米国とロシアの中距離核戦力(INF)全廃条約が存続の危機を迎えている。米露が互いに「条約違反だ」と非難合戦を展開する中、反露派が大勢を占める米議会は、INFで禁止対象のミサイルの開発調査費として新年度予算に5800万ドル(約60億円)の計上を決定。近くまとめられる米国の核戦略の指針「核態勢見直し」(NPR)にも影響を与えそうだ。

     「ロシアは数年にわたって条約を破ってきた」。マティス米国防長官は先月9日、北大西洋条約機構(NATO)の国防相会議(ブリュッセル)での記者会見で断言した。ロシアは条約で禁止された中距離弾道ミサイルの製造に2012年から着手し、今年2月には巡航ミサイルを実戦配備した、というのが米国の主張だ。

     ロシアは「そのような批判は受け入れられない」(ペスコフ大統領報道官)と反論。プーチン大統領も「米国が条約を順守している限りロシアも尊重する」とし、米国の主張は事実無根と退けた。

     一方でロシアは、米国が16年にルーマニアに配備した弾道ミサイル防衛(BMD)施設が「攻撃用に変更可能で、条約違反だ」と非難。米国は「BMDは防衛兵器」と反論するなど、議論はかみ合わない状態だ。米露は16年11月、条約で定めた検証委員会を13年ぶりに開いたが、そこでも議論は平行線に終わった。近く再会合を開く方向で調整している。

     米国には、条約を無視して新型の中距離弾道ミサイル製造を進める選択肢もある。だが、この分野ではロシアが先行しており、多額の費用もかかるため、マティス氏は「ロシアに対し、条約順守という元の状態に戻ってもらうよう努力を続けている」と説明している。

     条約が締結された冷戦時代は、ソ連(現ロシア)の通常戦力が米国を中心とする北大西洋条約機構(NATO)軍のそれを上回っており、米国は欧州に中距離核ミサイルを配備することで軍事バランスをとろうとした。だが現在は情勢が逆転し、米国に通常戦力で劣るロシアが中距離核戦力の配備を急いでいるという背景もある。

    ことば【中距離核戦力(INF)全廃条約】

     東西冷戦中の1987年に米国とソ連が結んだ条約。射程500~5500キロの中距離で地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルの保有を禁じ、欧州の緊張緩和につながった。91年までに双方が対象ミサイルを廃棄。実験や製造、配備は違反だが、研究開発は認められている。

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