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表現力や思考力を測り、かつ選抜試験として機能する問題が必要だ。
大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」のプレテストがあり、問題などが公表された。
同センターが作成し、全国の高校の4割に当たる約1900校で、延べ18万人が参加した。共通テストは2021年1月に実施され、今の中学3年生からが対象になる。
プレテストで目を引くのは、出題内容の変化だ。複数の文章や図、資料を読ませ、考える力や知識の活用力を測る問題が多数盛り込まれた。
国語では、生徒会の規約や校内新聞の記事を読ませ、情報を読み取り他人に正しく伝える力が問われた。
日本史なども、図表や絵画資料を多用し、物理や化学でも、グラフや実験結果を活用する力を重視した。
「大学入試が変わらなければ、高校以下の教育も変わらない」。教育界では、そう指摘され続けてきた。
覚えたことを再現させる入試が続けば、学校は知識偏重の「詰め込み」授業にならざるを得ないからだ。
その点で「考える力を養う探究的な学びが必要」という出題の狙いは、ある程度反映できたと言えよう。
ただ、今回の設問が、的確に表現力や思考力、活用力を測れたかどうかの入念な検証が必要だ。
記述式では正答するために複数の条件を満たすことが指定された。採点の公平性を保つためとはいえ、表現力を測るというには疑問も残る。正答率1%未満の難問も試された。
文部科学省は「知識も大事。その上での思考力、表現力」と説明するが、それでは受験生に過大な負担を強いる懸念もある。必要とされる知識量の精選も検討すべきだろう。
新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」を求めている。学んだ知識を生かし、考えたり議論したりして、本質に迫る学習だ。
テストの狙いもそこにあるが、高校での本格的な対応はこれからだろう。しかも高校だけで思考力を養えるわけでもない。小中学校との連携も含めた授業の見直しが急務だ。
共通テストは、50万人が受ける試験だ。成績が二極分化する難易度では、入試の機能は果たしにくい。
本番まで3年しかない。受験生の負担に配慮し、知識と思考力をバランスよく問える工夫を求めたい。
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