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若島正・評 『ボーリンゲン 過去を集める冒険』=ウィリアム・マガイアー著

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 (白水社・7344円)

人文学の文化遺産

 本書『ボーリンゲン』の副題は、「過去を集める冒険」という。そこで言う「過去を集める」とは、人類の文化遺産を後世に伝えることだ。最先端の科学技術ばかりが脚光を浴びる世の中で、こうした人文学の営みはとかく軽視される傾向にある。本書が描き出すのは、一九四二年に設立され、出版事業と学術研究支援を二十年余りにわたって続けた、ボーリンゲン基金という団体の歴史であり、そのまわりに集った知の文化人たちのポートレートである。

 人文学を探索する者なら誰でも、少なくとも何冊かは、ボーリンゲン叢書(そうしょ)から出版された書物に触れたことがあるはずだ。ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』、『易経』、ケネス・クラークの『ザ・ヌード』、ゴンブリッチの『芸術と幻影』、エリアーデの『永遠回帰の神話』などなど。そうした古典とも呼ぶべき名著の数々を、わたしたちはそれがどこから出版されたのかを気にもとめずに、ばらばらの点として受…

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