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ウラから目線

狙いやすい人々=福本容子

 人はいくらお金を稼げば、もう十分!と満足するか?

 答えは850万円。

 米プリンストン大学の経済学者と心理学者が調べたら、7万5000ドルあたりに「十分ライン」があったそうだ。これより下に行くほど、感じる幸福は減る。逆にこのラインを超えると、どれだけ増えても、幸福度にさほど影響はないらしい。

 報告されたのは7年ほど前のことだけど、最近の為替レートでは850万円ぐらい。

 まさか、この調査結果を参考にした? 来年度の税制改正で、所得税が増税になるかどうかの境界が850万円に決まりそうだ。

 ただし、勤め人(会社員や公務員)限定。それはなぜ?

 サラリーマンの場合、給料に比例して、そこから差し引く「みなし経費」、つまり控除額が増える。給与所得控除というやつだ。

 給与をもらわない自営業の人たちにはこれがない。でも、彼らは経費をしっかり申告できる。

 一方、最近増えてきたフリーランスの人たちの中には、収入も申告できる経費も少ないという人がいて、同じ年収でも、給与所得控除があるサラリーマンより税金をたくさん納めなくてはならないことも。

 これは不公平だ。というわけで、改正するらしい。

 本当に不公平なら、所得の少ないフリーランスの人だけ減税にすればいい。なぜ、年収850万円超のサラリーマンの増税が出てくる? 会社員以外に金持ちはいるはずだ。

 一般サラリーマンの税金は給料天引きで、国は確実に税金を取れる。主に大企業の社員で、納税者全体からすれば数は限られるだろう。増税でも、世間から同情されにくい。

 一方、アベノミクスによる円安のお陰で、すでに何百億円も利益が増えた企業は、法人税減税の可能性があると聞けば、え?と思う。年収850万円超の増税は、消費を増やそう、というかけ声とも逆向きだ。

 さて、アメリカではいくらあれば幸せか?の問答が続く。富裕層向け雑誌がはじき出した額は1億ドル(約112億円)! イバンカ・トランプさんみたいな人たちの世界。

 対する年収850万円超のサラリーマン。彼らは本当にターゲットとすべき人々なのか。(論説委員)

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