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サンデー毎日発

国公立・私立275大学 最新難易度 理系編 情報系難化、理学は広き門 !?

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 今春に続き、来春入試でも理系受験生の減少が決定的となった。負荷のかかる教科を頑張ってきた理系生には朗報だが、学科レベルで見ると、情報系など難化含みの系統もある。最新の来春の理系学部の動向についてお届けする。

 受験生が志望校選びに本腰を入れる頃だが、この時期になっても、模試における理系学部の志望者は前年を下回ったままだ。この志望状況で一般入試を迎えるのなら、来春の理系入試も“広き門”となることは間違いなさそうだ。河合塾教育情報部チーフの岩瀬香織さんは、こう話す。

 「ここ数年の動向が継続し、理学系や農学系の志望者減が続いています。受験生のレベルも全体的に下がっているので、この系統の志望者は強気で入試に臨めます。個別に見ると、早稲田大の先進、創造、基幹の三つの理工学部すべてで志望者が減るなど、最難関大の理工系志願者が減りそうです」

 慶應義塾大・理工も志望者が減少している。理学系の志望者減とともに、受験生の安全志向の高まりも影響しているようだ。早慶の志望者が減る一方、東京理科大は前年の志望者を上回っている。3大学とも難関だが、その中では、東京理科大が入りやすいと考える受験生心理が志望動向に表れているようだ。

 国立大でも同様に安全志向を受けた動きが見られる。最難関の東大・理1の志望者が減少し、東京工業大が増えている。東京工業大の中でも増え幅が大きいのは、電気や情報、通信、制御などについて学ぶ第5類だ。

 来春入試では、東京工業大に限らず、情報系の人気が高いことが特徴。情報系学部は国公立大と私立大の理学系と工学系それぞれにあるが、私立大の理学系の志望者数が前年並みの他は全て前年を大きく上回っている。以前の情報系は、IT産業の代表的な職種であるSE(システムエンジニア)の労働条件の厳しさもあいまって、人気がなかった。その情報系の志望者増の要因について、駿台教育研究所進学事業部長の石原賢一さんは、次のように説明する。

 「AI(人工知能)や車の自動運転技術、ロボットなど、情報技術の発達に関する話題に事欠きません。世界の産業構造の一大転換期にあって、受験生の視線が情報系に集まるのは当然だと思います。模試での情報系の志望者は、全国で前年より1000人増えて1万人を超えているので、情報系の人気は本物だといえます」

 AIの開発や、さまざまなモノをインターネットでつなぐIoT(モノのインターネット)などが一般的になった。現在ある仕事がこれらの技術に置き換えられるといわれる時代に、受験生の注目度が高まるのは当然といえる。では、東京工業大以外に志願者増が見込まれる大学はどこなのか。河合塾の岩瀬さんに聞いてみた。

 「有名大の情報系学部の志望者が増えています。今年新設された名古屋大・情報は受験生の認知が深まったこともあり、志望者が大きく増えています。私立大では今年新設された東洋大・情報連携も、認知度アップにより、2倍近い志望者が集まっています。法政大・情報科、京都産業大・情報理工、立命館大・情報理工などで志願者が増えそうです」

 名古屋大・情報は自然情報、人間・社会情報、コンピュータ科の3学科からなる文理融合型の学部で、難易度は同大の中で上位だ。名古屋大・情報と同年に新設された滋賀大・データサイエンスも、ビッグデータを活用するデータサイエンティストを養成する大学として人気が高い。

 来春は、国公立大で2校目となるデータサイエンス学部が横浜市立大にできる。京都産業大・情報理工は、既存のコンピュータ理工を改組して来春できる学部で、ロボットインタラクションやコンピュータ基盤設計など10コースの中から興味のある分野を組み合わせて学ぶことができる。

就職率の高さを好感 工学系大学で志望増

 このように新設が進む一方、2003年にコンピュータサイエンスを設置した歴史のある東京工科大は、近年IoT教育に力を入れる。来春の志願者増が見込まれる立命館大・情報理工も、04年の開設で、理系の情報系では老舗だ。

 難化が予想される情報系だが、駿台教育研究所の石原さんは、近接分野に視野を広げることにより選択の幅が増えると言う。

 「情報系学部(学科)と同様の教育・研究が行われている専攻や研究室は電気・電子系にもあります。この系統は志望者が増えていないので、情報系の志望者にとって狙い目になる学部(学科)が見つかると思います」

 電気・電子系以外にも、工学系では機械系など志望者が減少している学科があるが、工学系全体を見ると志望者は減少していない。先述した情報系人気に加え、建築・土木系に昨年並みの志望者が集まっていることもあり、志望動向の指数は国公立大が前年並みの100、私立大は104となっている。

 こうした状況の背景には、工科系大学の堅調な志望状況がある。模試の指数を見ると、前出の東京理科大に加え、芝浦工業大や金沢工業大、大阪工業大、広島工業大などが、前年並みから増加となっている。

 これらの大学に共通しているのは就職率の高さ。今春の卒業生が1000人以上の大学の実就職率ランキング(実就職率=就職者数÷〈卒業者数-大学院進学者数〉×100)を見ると、金沢工業大が1位、大阪工業大が5位、芝浦工業大が6位、広島工業大が16位と上位に入っている。大学生の就職状況の好調さが理系離れの一因ではあるが、それでも、就職に強い大学に対する期待感は大きいということだろう。

 国公立大の工科系大学では、前出の東京工業大の他に、北見工業大や前橋工科大、電気通信大、京都工芸繊維大、高知工科大などの志望者が増えている。ちなみに電気通信大は、先の実就職率ランキングで12位だ。

 工学系で志望者が増えている大学とともに注目したいのが、学部を再編する国立大だ。ベネッセコーポレーション初等中等教育事業本部情報企画課長の渡邉慧信さんはこう話す。

 「熊本大・工が既存の7学科を4学科にするなど、学科や課程を再編する工学部が増えています。学科のくくりを大きくすることで、専門とその周辺分野を幅広く学ぶことが可能になり、現在求められている学問研究が行えます。このような学び方を望む受験生は多いと思いますが、現状では改組への認知不足もあり、志望者が増えている大学は多くありません」

 こうした工学系の改革を行う大学には、茨城大や富山大、京都工芸繊維大、香川大、九州工業大などがある。工学系を目指す受験生は、もう一度改組の情報を確認してみてはどうだろうか。

今後求められる分野 農水産系が狙い目か

 理系学部の中で比較的志望状況が堅調な工学系に対し、理学系の志望動向指数は国公立大が97、私立大が100と、国公立大の減少幅が大きい。理科の科目負担が大きい現行の教育課程になったことによる理系の受験生減少の影響を大きく受けているためだ。そうした中で注目されるのは、首都大学東京。都市教養学部を改組して理学部を独立させたことにより、学部名と教育・研究内容が結びつき、大幅な志望者増になっている。

 理学系以上に志望者の減り方が大きいのは農・水産系。その状況について、ベネッセの渡邉さんが説明する。

 「情報分野と異なり、農・水産系は受験生が志望したいと思えるトピックが乏しいことが影響しているようです。名古屋大や神戸大、九州大といった国立難関大や私立の有名大の農学部も増えていません。農・水産系を目指す受験生を後押しする材料が必要です」

 農・水産系は情報系のようなインパクトはないが、学問の発展が将来を左右する重要な学問分野。特に農学は、食料自給率や食の安全の問題など、これから求められる分野を学ぶ学部であり、改革を進める大学は多い。そうした中、東京農業大の農学部は、生物を理学や工学、社会学の視点からとらえ、生物の機能を人間社会に活用するための教育・研究を行う、生物資源開発とデザイン農の2学科を来春新設する。

 食について総合的に教育・研究を行うのは龍谷大。植物生命科(栽培)、資源生物科(収穫)、食品栄養(加工)、食料農業システム(流通)の4学科体制で、「栽培→収穫→加工→流通」という、食の循環について総合的に学ぶことができる。農水産系の学問範囲は広く、食以外にも先進的な教育・研究を行う大学は多い。こうした将来性のある学びを望む受験生にとって、農・水産系の間口の広がりは歓迎材料だ。

 まとめると、理系学部の中で明らかに易化が見込まれるのは理学と農・水産系。一方、情報系が難化し、昨年志願者が増えた建築・土木系で現状維持という状況だ。志望状況は学部(学科)系統によって異なる。“理低”の評判をうのみにせず、目指す分野の難易度や志望状況を再確認したい。【大学通信・井沢 秀】

**週刊「サンデー毎日」2017年11月5日号より転載。この特集には、国公立・私立275大学について、河合塾、駿台予備学校、ベネッセコーポレーションの学部別最新難易度を掲載した表があります。そちらは、実際の誌面で確認してください。

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