井上靖

未発表の日記 「欠史時代」戦中から戦後

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井上靖

終戦時のトップ記事「玉音を拝して」 執筆難しい

 今年生誕110年を迎えた作家の井上靖(1907~91)が大阪毎日新聞(毎日新聞の前身)に在職中の1940(昭和15)年から46(昭和21)年にかけ、戦時下の暮らしぶりや仕事、交友関係、小説の読後感などを克明に記録した全集未収録の日記帳3冊が見つかった。ふみ夫人(2008年死去)が大切に保管していた遺品を、井上靖記念文化財団理事長で筑波大名誉教授の長男修一さん(76)、甫壬(ふみ)さん(71)夫妻が整理する際に偶然発見した。この期間は年譜でも「欠史時代」とされており、昭和の国民的作家がどのように雌伏の時を過ごしたかが分かる第一級の資料だ。【中澤雄大】

 日記帳は大封筒2枚に入っていた。「終戦前後 新聞記者時代 資料 重要」「終戦前後 日記」と、作家自身が太字の油性ペンで手書きした。うち一枚には「法隆寺シルクロード仏教文化展図録」の会期が印刷されており、1988年から亡くなる91年までに仕分けしたとみられる。3冊はいずれも硬表紙のノート(A5判)。万年筆で細かな字が縦書きでびっしり記されている。入社翌年の37(昭和12)年の応召時に社員手帳に鉛筆…

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