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記者の目

「多死社会」変わる弔いの現場 自分の死と向き合おう=山口知(大阪社会部)

引き取り手のない遺骨の納骨スペースで作業する大阪市職員=大阪市平野区の同市立瓜破斎場で6月26日、猪飼健史撮影

 1995年の92万人が2015年に129万人、35年には165万人--。高齢化で国内の死者数は年々増加し、日本社会は「多死社会」に突入しつつある。春以降、連載「死と向き合う」の取材を始めると、家族関係の希薄化や貧困を背景に弔いの現場が様変わりし、全国の政令市で無縁仏が過去10年でほぼ倍増するなど深刻な状況に陥っていることがわかった。誰も死から逃れられない。だからこそ、一人一人が自分の死と向き合う必要性を痛感している。

 都市部で無縁仏が増えているとは聞いていたが、具体的な数字がない。全国20政令市に取材すると、15年度に引き取り手がなく、税金で火葬後、保管・埋葬された遺骨は計7363柱に上った。全政令市の15年の死者数は24万4656人。年度と年間の違いはあるが、亡くなった人の33人に1人が無縁仏だった。最多の大阪市は2999柱で実に9人に1人。自分が死ねば家族や友人に見送られ、ご先祖と同じ墓に入る。漠然とそう考えていた私にはショッキングな数字だった。

 無縁の遺骨は公営の納骨堂などで一定期間保管された後、合葬墓に合祀(ごうし)される。遺骨は増え続けており、大阪市は15年度、収容量を4・2倍に増やした。担当者は「今後も増え続けるだろう」と話す。背景には、死者の引き取りを拒む家族や親戚の増加、葬儀代などを工面できない貧困層の拡大があり、行政は有効な対策を打ち出せないでいる。

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