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楽天が第4の携帯会社へ 競争で通信市場活性化を

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 楽天が自ら通信網や基地局を持つ携帯電話会社を設立するため、電波の取得を総務省に申請する。

 認可されれば2019年中にサービスを始めるという。大手3社に対抗する第4の事業者の登場によって、携帯市場の活性化と料金の引き下げを期待したい。

 楽天は14年からNTTドコモの通信網を借りた格安スマートフォン事業を手がけ、約140万件の契約を持つ。しかし、格安スマホ市場は競争が激しいうえ、ドコモに払う使用料負担で利益率は低い。成長性も限られているため、自前の通信網による参入を決断したようだ。

 楽天は、25年までに最大6000億円を投じて基地局などを整備する。楽天市場でたまるポイントなどグループ内のサービスと連携して付加価値を高め、1500万人以上の契約獲得を目指すという。

 携帯料金については、国際的にみて割高という指摘がある。総務省の14年度の電気通信サービスの内外価格差調査によると、東京のスマホの2ギガバイトユーザーの例では、月額利用料金は7022円と世界の主要7都市で4番目だった。

 「携帯料金の重い負担が消費を抑制している」との見方に立つ政府は、大手に料金引き下げを再三要請してきた。また、大手の「スマホ実質ゼロ円販売」の商法を禁じるなど、格安スマホ市場への参入を後押しする政策も進めている。

 自前の通信網を持つ携帯会社の登場を促すため、警察などに割り当てている電波帯域を民間に開放する方針を示していた。今回、楽天はこの帯域での電波取得を申請する。

 ただし楽天の経営判断を不安視する指摘もあり、発表後の楽天株価は下落した。

 国内の携帯市場は成熟化しており、ドコモなどは海外などに新たな収益源を求め、買収戦略を展開している。楽天が掲げる6000億円の投資は、大手が1年で4000億弱~5000億円強を設備投資にかけるのに比べて少なく、事業展開は限定的との見方もある。

 総務省は、楽天の申請を待ち、事業内容や設備投資計画、財務基盤などをもとに審査するという。国民生活に密着した通信事業であり、慎重で厳正な審査が必要だ。

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