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偽ドル札

鑑定機解析か 都内で100枚以上見つかる

鑑定のため研究所に持ち込まれた偽札(下)。上の本物に比べ色合いが異なる=東京都中央区で2017年11月29日、岸達也撮影

 米100ドル紙幣の精巧な偽札が、日本や韓国で相次いで見つかっている。本物の米ドル紙幣には特殊なインキや紙を使うなど偽造防止策が何重にも施されているが、問題の偽札は鑑定機もすり抜けたという。【岸達也/統合デジタル取材センター】

東京の金券ショップで見つかる

 偽の米100ドル札が日本で確認されたのは今年10月中旬。判明しただけで100枚以上が、両替を営む東京都内の複数の換金ショップに持ち込まれた。関係者によると偽札は、「SERIES2009」と呼ばれ2013年から流通が始まったカラフルな最新デザインだ。

東京で見つかった偽100ドル札は「三次元セキュリティリボン」で見抜けると話す偽造通貨対策研究所の遠藤智彦所長=2017年11月29日、岸達也撮影

 このデザインでは、表側に建国の父と慕われるベンジャミン・フランクリンが配され、中央に青紫色で樹脂製の「三次元セキュリティリボン」が組み込まれている。このリボンは偽造防止の切り札とされ、紙幣を動かすと数字の「100」と小さな「自由の鐘」が現れ、光の加減で動いているように見える。その脇の銅色の「インクつぼ」も紙幣を傾けると中に「自由の鐘」が現れる。その右横、額面の100という数字も特殊印刷で、傾けると色合いが変わる。

 偽札の鑑定を依頼された偽造通貨対策研究所(東京都)の遠藤智彦所長によると、偽札はベースとなる紙にざらつき感を持たせるエンボス加工を施している。本物はいくつもの印刷技術を組み合わせてインキがやや盛り上がる。遠藤氏は「エンボス加工紙で手触りを似せようとしたのかもしれない」とみる。

 遠藤氏によると、東京で見つかった偽札を見抜く最大のポイントはリボンに描かれた「100」や「自由の鐘」の動きを確認することだという。透かしなどはある程度まで再現できているがリボンは無理で、動いて見えることはない。

偽造グループは鑑定機を解析?

 今回、偽札は金券ショップの両替店を狙って持ち込まれた。金券ショップはふつう、偽札を見抜く鑑定機を常備する。鑑定機は、内蔵のセンサーで紙幣の磁気パターンなどを読み取り真偽を判別するタイプが多いが、使い古され摩耗した紙幣にも対応できるように設定され、偽札を本物と誤認したとみられるという。

 遠藤氏は、偽造グループがまず広く普及している鑑定機を入手し、センサーの設定情報を解析したうえで偽札を偽造。鑑定機をすり抜けることを確かめ、同じタイプの鑑定機を置く両替店を狙って換金を試みた--と推測する。

2000年代の偽100ドル札「スーパーノート」(下)。拡大すると本物(上)よりも細かい文字が精巧に印刷されていた=偽造通貨対策研究所提供

韓国では1世代前の精巧な偽ドル札

 一方、韓国の金融機関は12月6日、最新デザインより1世代前の「SERIES2006」と呼ばれる米100ドルの偽札が見つかったと発表した。最高水準の偽造レベルで、フランクリンのすかしの輪郭が本物に比べわずかにぼやけている程度でほとんど見分けがつかない。特殊なインキや紙が使われ、こちらも鑑定機を通過していたという。

 米ドルは世界中で使えるため、最高額の100ドル札は世界で最も偽造される紙幣とされてきた。1990年代から2000年代には「スーパーノート」と呼ばれる偽札が日本を含むアジア各国で多数見つかった。一部は印刷精度が本物を上回っていた。

 これらの偽札について、米財務省は2006年に「北朝鮮政府の全面的な同意と管理のもとで製造され、流通した」とする報告書を発表。当時約5000万ドルの偽札を押収していたことも明らかにし、「米当局はすべて見抜いている」と警告した。米国の指摘に北朝鮮側は自国内での偽札流通は認める一方、政府の関与は否定したとされる。

 この「スーパーノート」の真偽鑑定も手がけた遠藤氏は、日韓両国で見つかった偽札のレベルについて「韓国で見つかった偽札は過去のスーパーノートの系譜につながる可能性があり、国レベルの関与が疑われる水準だ。一方、東京で見つかった偽札は、かなりの高水準だが、組織的な国際犯罪グループのレベルだろう」と犯人像を推測する。

上が本物の米100ドル札。下が偽札。色合いが異なる=東京都中央区で2017年12月12日、岸達也撮影

触り慣れない外国の紙幣に注意を

 日本では1998年に外国為替業務が大幅に規制緩和され、銀行に行かなくても街中の金券ショップなどで手軽に日本円を外国通貨に両替できるようになった。

 政府の統計によると、訪日旅行客は2006年に733万人だったが、2016年は2403万人で、10年で3倍以上に膨らんだ。2020年には東京五輪・パラリンピックがあり、海外の旅行者が外貨を金券ショップに持ち込む額も増えるとみられる。

 遠藤氏によると「五輪などのビッグイベント時には、持ち込まれる偽札も増える」と話す。日本の刑法では、外国の紙幣であっても偽造したり、使ったり、輸入したりすることを禁じている。ふだん触りなれていない高額な外国の紙幣を入手したら、偽札の可能性を頭の片隅におき、少し疑ってみるといいのかもしれない。

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